2023/3/27
世界イチの“HRノウハウ創出企業”になる。目標は「射程圏内」
NewsPicks Brand Design Senior Editor
Grow Up Ventures──日本のスタートアップ企業の成長を支援し、“スタートアップ企業にスポットがあたる世の中を”創る。
創業からの熱い思いを胸に、日本からGAFAのようなグローバルカンパニーを生み出すことで「我々は日本の成長に寄与していきたい」。
そう壮大なミッションを語るのは、ポテンシャライト代表・山根一城氏だ。
企業の採用やHRを支援するプレイヤーは市場に大小数多く存在するが、ポテンシャライトの“特異性”を際立たせる主な特徴は3つ。
1. ベンチャー/スタートアップに特化していること
2. 支援する範囲・領域の幅が広く、50以上にわたること(サービスに際限なし)
3. 独自のノウハウを500以上ゼロイチで創造し、世に広く発信していること
「ベンチャー支援」にこだわる理由
20年近くHR業界で働く山根氏曰く、「HR業界とベンチャーの相性は非常に悪い」。
たとえば、成果報酬型がメインの人材紹介会社(人材エージェント)は、どんどん候補者を企業に送り込むことで利益を得るが、アーリーステージのベンチャーは「採用ハードルが高く」「企業の知名度が低く」「年収も高くない」ため、入社が決まりにくい。そのため、人材紹介会社としては、採用数の多い大手企業や名が知れたメガベンチャーを推薦する力学が働きやすい。
企業の利益を求めるビジネスとしては“当然”の構造だが、山根氏はこの状況に「NO!」を突きつけ、ベンチャーの採用支援に特化したポテンシャライトを2017年4月に創業した。
「みなさんがご存じの通り、日本経済の成長は30年近く停滞しています。この原因の一つに、私は『HR業界の構造やあり方』があると考えています。
企業の成長を左右する経営資源の中で、最も振れ幅が大きく、コントロールが難しいのは「ヒト」の要素です。
資金調達でお金を手にすれば候補者に以前よりは高い年収を提示できるようになりますが、実際に採用がうまくいくかどうかはわかりません。なぜなら、ヒトには感情があるから。お金だけの力で「ヒトを買う」ことはできません。
しかし、小規模なベンチャーでは、一人の優秀なメンバーの参画によって短期間で2倍、3倍に成長することも珍しくない。
日本からGoogleやAppleのような世界有数の企業、そしてNetflixやAirbnbのような新興系のグローバルカンパニーが生まれない一因は、『新しい価値を生み出す企業=ベンチャー』に優秀な人材が集まりにくいからでしょう。
つまり、採用を支援するHR業界の責任でもあるんです。私はここに強い危機感を抱き、ポテンシャライトを立ち上げました」(山根氏)
支援領域はHRに関わる「すべて」
現在、ポテンシャライトでは「HRインキュベート事業」「エージェント事業」「採用管理システム事業」の3つを展開しているが、その中でベンチャー企業の採用/人事組織に寄り添うのが「HRインキュベート事業」である。
外部からの採用支援というと、スカウトメールの送信代行や求人広告の作成代行、候補者とのコミュニケーションの代行など、採用業務の中で切り出しやすい一部分のサポートを想像するが、ポテンシャライトが担うのは「HR業務のすべて」の支援だ。
つまり、クライアントとなる企業の「HRパートナー」として経営者や人事部と伴走し、その時々に生じる採用の「課題」や「ニーズ」に合わせ、提供するサービスを企業ごとにフルカスタマイズ。
採用活動の上流である「人事戦略」から「採用ブランディング」「採用手法の設計や運用」「入社後のオンボーディング設計」「人事制度設計」「マネージメント研修」まで、顧客に求められる領域を、どんどんサービス化してきた。
「我々の目標は、目の前のクライアントを限りなく幸せにすること。
HRのプロフェッショナルとして、『それは当社のサービス外だからできません』と言うことは決してしたくありません。
その結果、創業当初は4つだったサービスも、今では50を超えるまで増加。
すべてのサービス概要を覚えるだけでも大変なほどですが(笑)、今後もお客様に求められる領域はサービス化して、どんどん増やしていきます。
我々と同じような“HRノウハウ”を多数持ち、フルカスタマイズで提供するビジネスモデルの企業は、国内にはほぼ存在しません。海外にはベンチマークしている企業が2社ありますが、サービスの質・量において、すでに両社と同レベルのサービスを提供できるようになってきました。
日本、世界全体で見てもこれほど職域が広く、エキサイティングな環境はないと思います。数年後には、ポテンシャライトが『ベンチャー×HR』領域で世界トップのノウハウ創出企業となる。
そして、日本から世界に羽ばたくグローバルカンパニーをどんどん生み出していく。私はこの挑戦に人生をかける価値があると信じていますし、その実現の日は遠くないと自負しています」(山根氏)
「世界を目指すベンチャーを」に共感
目標は「世界で最も優良なベンチャー向けのHRノウハウを創造すること」(山根氏)という、大きな志のもとで創業来、成長を続けてきたポテンシャライト。
とはいえ、HR領域の「すべて」を支援する“HRのプロ”を名乗り実行することは、そう簡単ではないだろう。現場で働く社員は、この唯一無二の環境をどう捉えているのか。
ここからは「HRインキュベート事業」を率いる、2人のリーダーに本音を聞いてみよう。
──2022年4月から執行役員を務める寳田(ほうた)歩未さんの入社は、2019年10月。「10人目の社員」として、創業2年半のポテンシャライトに入社を決めたのはなぜですか。
寶田 私は前職も人材業界でした。エージェントとして、主にIPO前後からシード期のベンチャーまで、幅広く企業と候補者の双方を担当していました。
興味のある企業を自身で開拓し担当できる裁量もあり、とても楽しく働いていたのですが、仕事にのめり込むほど、モヤモヤと悩むことが増えてきて。
たとえば、シード期のベンチャーとコンタクトが取れても、「採用には困っているけれど、エージェントfeeを払う余裕はない」と門前払いされたり、そもそも採用の課題が「自社の魅力をどう伝えればいいのか」「カジュアル面談で何を話すべきか」といった人材紹介“以外”の部分にあったり。
目の前で困っている方を支援したくても、「人材紹介しかできない」ビジネスの限界にジレンマを感じていたときに、出会ったのがポテンシャライトでした。
最初が山根とのカジュアル面談だったのですが、そこで山根は「ベンチャーを本気で支援していく。日本からGoogleやNetflixを生み出したいんだ」と、熱弁していて。
そこまで壮大な未来は考えたことがなかったので衝撃を受けましたが、「ここなら、私のやりたいことが全部できる!」と、その3日後には入社を決めていました(笑)。
あれからもう4年近く経ちますが、ポテンシャライトも社員が70人超と大きく成長しました。私が入社した頃と比較すると、規模は7倍です。
「日本から世界で戦えるベンチャーを創るために、本質的な価値を提供する」。当時、面接で聞いた山根の言葉がまったくぶれないまま、その目標が現実に近づいていると実感しています。
──寶田さんと同じく、HRインキュベート事業でリーダーを務める奥村真帆さんは入社前には起業の道を探っていた、とか?
奥村 実はそうなんです。私は前職では、ブライダル媒体で広告営業をしていました。
「世の中にインパクトがある価値を生み出すために、ダイナミックなチャレンジをしたい」という気持ちが強く、圧倒的に成長できる環境を求めて就職活動をしたのですが、最初の配属先は地方で「私が売れるのは広告枠だけ」。
先細る業界の中で、もっとお客様の本質的な成長につながる提案をしたい。そう考えて「業界の底上げが必要だ」と上司に訴えた結果、当然ですが、まずは足元で結果を出すことが最優先だと言われてしまい……。
「お客様のため」を突き詰めても「やりたいことができない」。そんな社会の厳しさにしびれを切らし、思い切って会社を辞めて、もともと興味があったHR領域での起業を模索したんです。
といっても、そう簡単にはいきませんよね。自身の実力不足やコロナ禍に直面したことで、改めて「自分の力をゼロから鍛え直そう」と考え始めた頃に知ったのが、ポテンシャライトでした。
ポテンシャライトが目指す「ベンチャーに寄り添って日本を明るくしたい」という世界観は、まさに私のやりたいこと。
そして「お客様に本質的な価値を提供する」という、自分の中で絶対に譲れないことが、ここでなら実現できる。
加えて、自社の採用手法やカルチャーしか経験できない「事業会社の人事担当」と違って、同時期に複数のベンチャーのHR業務に深くかかわることができるポテンシャライトの環境は、短期間で圧倒的に成長したい私にとって、とても魅力的に映りました。
ポテンシャライトの選考に落ちたら、自分のキャリアは終わる──。当時は、そこまでの覚悟を持って面接に挑んでいましたね(笑)。「世界でナンバーワンの“HRノウハウ創出企業”を目指す」という山根の言葉を聞いて、すごくワクワクしたのを覚えています。
しかも、新卒時から「圧倒的に成長できる環境」を求めていた私ですが、ポテンシャライトで得られた成長スピードは、想像していた10倍以上で。
入社から3年近くが経ちますが、日々、対面するのは自社の成長に真剣に向き合う優秀な経営レイヤーや人事担当者の方ばかり。企業のフェーズによって採用の課題も変わるので、HRのプロフェッショナルとして伴走できるよう、今でも毎日、必死で勉強しています(笑)。
「ゼロイチ」の創造がやりがいに
──ポテンシャライトのHRインキュベート事業の最大の特徴は、HR領域「すべて」を、支援の対象にしている点です。新しいサービスやノウハウをどんどん生み出す「ゼロイチ」の仕組みについて教えてください。挑戦の幅広さはとても魅力的ですが、一方で「経験がない分野を担えるのか」「ハードルが高い」と感じる方もいると思います。
寶田 「Zero Ichi(ゼロからイチを創造する)」は、ポテンシャライトが掲げる 重要なカルチャーであり社内用語ですが、ここにはHR業界のトレンドを追うのではなく、私たちが新しいサービスやノウハウ、トレンドを「創造」していくという強い意志が込められています。
今、ポテンシャライトには50を超えるサービスと、500以上のノウハウがあります。
現在のサービスと社内に蓄積されたノウハウをフル活用すれば、ほとんどのHRの課題は解決できるようになってきたとは思いますが、そもそもノウハウは「覚えるものではなく、自ら創り出すもの」だと私たちは考えています。
つまり、日々、対面するクライアントが抱えるHRの課題から目を背けずに、「そのお悩み、一緒に解決させてください」という姿勢を忘れないこと。
新しい課題が見つかれば、その解決法がひとつのノウハウになり、新規サービスになる可能性も秘めている。
もちろん入社直後から、すべての領域・サービスを支援できるようなスーパーな人はいません。
実は、ポテンシャライトには「非常に精度高く、HRノウハウを検索できる社内Google」のようなWikiがあるんです。
私の入社時点でも、ノウハウは未整理な状態で1000を超えるほど登録されており、その具体性や希少価値の高さに唖然としましたが、今年の1月、改めて溜まった情報を丸2日かけて整理してみたところ、文字数で換算すると「合計24万字」もあって(笑)。
膨大なナレッジが蓄積され、学びを得やすく、よりチャレンジしやすい環境が整ってきています。
奥村 ポテンシャライトでは、入社後にしっかりとした研修もありますし、基本的には毎月メンバーたちが創り上げる豊富なノウハウをベースに戦うことができます。
しかし、フルカスタマイズを掲げる以上、最終的には既存のノウハウに「プラスα」をしないと、それぞれの企業にぴったりの解決策や支援になりません。
そこでメンバーそれぞれが生み出す「プラスα」の部分が、ほかのクライアントにも応用できる新しい「ゼロイチ」のノウハウ、サービスとしてさらに社内に蓄積していく仕組みですね。
そうやって「ゼロイチ」を自分から創り出すこと。ここはポテンシャライトで働く醍醐味であり、意欲をかき立てられる場面になります。
「ベンチャー採用のStandard」を創る
──そうして生み出した「ゼロイチ」のノウハウを言語化し、noteやブログとして外部に発信していることにも驚きます。ポテンシャライトにとっての“最大の武器”を、なぜ惜しみなく公開するのですか?
寶田 私たちのビジョンは「ベンチャー採用/転職のStandardをポテンシャライトに」です。
採用ノウハウをゼロから生み出し、世の中に新しい採用のあり方をアウトプットすること。そして、日本のスタートアップの採用トレンドを、ポテンシャライトが創出することを強く意識しています。
目の前のお客様に最大限の価値貢献をするだけでなく、ベンチャー領域全体のHRを向上させたい。そのために我々のノウハウを提供することは、まったく厭いません。
私たちのノウハウをどんどん使っていただき、ベンチャー全体が盛り上がったほうがうれしいですし、「コピーはオリジナルに勝てない」という自信もあります。
たとえば、私が世に打ち出したノウハウのひとつに「Entrance Book」があります。
候補者に対して「適切なタイミング」で「適切な情報」を届けるために試行錯誤した結果、生まれたのが「Entrance Book」で、カジュアル面談前に見ていただくことを想定した、企業や採用の情報を集めたものです。
「Entrance Book」で検索いただくと、私たちのクライアントだけでなく多くの企業が主体的に作成されるほど、今ではベンチャーの枠を超え、採用の場面で活用されています。
世の中のHR企業を見渡しても、きっと100社中99社には、クライアントのニーズに対して「ここまでしかできない」というサービス提供の制約があるでしょう。
以前の私や奥村のように、モヤモヤした気持ちを抱えながら、こっそりとサービス外の支援やアドバイスをされているHRパーソンも、業界には少なくないと思います。
その「こっそり」の部分を肯定し、堂々と「サービス」として提供できるのがポテンシャライトの環境です。
そう考えると「ゼロイチ」が求められるプレッシャーより、「もっとやりたい」「新しいノウハウを生み出したい」という気持ちのほうがずっと強い。
その人自身が最大限チャレンジをすればいいという「Challenge Yourself」のカルチャーがあるのも、失敗を恐れず、伸び伸び挑戦できる土壌になっていると思います。
組織の課題を「挙手制」で担う
──ポテンシャライトには「組織OKR」という挙手制の業務もあると聞いています。
寶田 一般的な企業では独立した部署が担うような組織拡大のための業務をHRパートナーが「兼務」する体制を採っており、これを「組織OKR」と呼んでいます。
メンバーは挙手制で、3カ月ごとに希望領域を選択でき、私は「Impressive quality」という、全社のクオリティ向上を長く担当しています。
具体的には、NPS®による効果測定を定期的に行い、顧客満足度を高い水準に保つこと。
2021年以降の調査では、平均8.5(10点満点)、NPS®は+35の数値を保っており、3年後にはAppleやリッツカールトンのようなホスピタリティの高い企業に追いつくことを目指しています。
──奥村さんは、組織OKRでは「branding」を担当しているそうですね。
奥村 いわゆる広報・PR的なポジションですね。大小交えたイベントやウェビナーを開催するなど、外部にポテンシャライトの魅力を発信する役割です。
ブランディングの任務のひとつは、ポテンシャライトが外部から美しく見えるように整えること。そのために「お会いした方、全員を企業のファンにする」のが、最大のミッションです。ポテンシャライトにはマーケティング部門がありません。マーケティングではなく、ブランディングに全振りするのが我々のスタイルです。
この経験は、HRパートナーとしてクライアントの支援をする上でも、非常に役立っています。採用では目の前の候補者をいかにファンにできるかが、その成否を大きく左右しますから。
組織OKRでの経験が、本業にプラスになっているのは、私に限らずメンバー全員に言えることですね。
「世界ナンバーワン」は夢物語じゃない
──改めて、ポテンシャライトのミッションは「Grow Up Ventures」です。最後にお二人が、これから目指す先について教えてください。
寶田 実は正直、私は入社当初は山根が言う「HRのノウハウを創出して、世界ナンバーワンになる」という言葉が、ピンときていませんでした。
それがポテンシャライトに入社して、支援に携わるベンチャーの社員が3人から120人に急成長したり、自分自身の手で30以上のノウハウをアップデートしたりする中で、入社時に聞いた山根の言葉が、手触り感をもって信じられるようになってきました。
今は、私たちのメソッドをもっとたくさんのベンチャーに提供し「世界で一番を目指す」ことが、実現可能な目標としてクリアに見えています。
人生において「世界で一番を目指す」テーマに出会えたことがうれしく思います。このワクワクをHR界隈の方には伝えたいですし、自分もワクワクしながら仕事をしていきたい。
「Grow Up Ventures」というミッションには、日本や世界を背負っていくという自負があります。これからのHR業界に関心のある方とは、ぜひ一緒に世界を目指したいですね。
奥村 私は、ポテンシャライトでの自分の使命は、代表の伝道師であることだと思っています。
人も増え拡大し続ける企業の中で、山根が創業時から言い続けていることを、私がハブとなって新しいメンバーにも伝承し、メンバーみんなが「日本のHRを牽引する人物」へ成長することに貢献したい。
それが日本や世界のHRノウハウのアップデートの速度を上げることにも直結すると思っています。
ポテンシャライトがやらなければ、日本のHRの発展はない。入社以来、ずっとそう本気で思って日々業務に励んできました。これから仲間になってくれるメンバーとともに「ベンチャー×HR領域は、ポテンシャライト一択」という世界線を創っていきたいですね。
写真:小池大介
ヘアメイク:大坂ひとみ
デザイン:久須美はるな
編集:樫本倫子