[東京 10日 ロイター] - ソフトバンク<9984.T>が10日発表した2014年4─12月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前年比16%減の7880億円に落ち込んだ。前年同期にガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765.T>とウィルコム(現ワイモバイル)子会社化による一時益2486億円を計上した反動が出た。ただ、一時益を除いた実質ベースでは14%増益となった。

売上高は前年比1.4倍の6兆4312億円に拡大した。米携帯電話3位のスプリント<S.N>や米携帯端末卸売大手ブライトスター、フィンランドのスマートフォン(スマホ)向けゲーム大手のスーパーセルが連結対象に加わったことが貢献した。

通期予想は売上高が前年比20%増の8兆円、営業利益が同17%減の9000億円で据え置いた。営業利益予想はトムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト20人の予測平均値9971億円を下回っている。

<スプリント減損処理せず>

米スプリントは10─12月期決算で、総額21億3000万ドル(昨年12月末の為替レートで2568億円)の減損損失を計上したが、ソフトバンクは今回の決算で減損処理をしなかった。これはスプリントが採用する米国会計基準とソフトバンクが採用する国際会計基準とで減損テストの実施方法が異なるためで、ソフトバンクが国際会計基準に則って減損テストを実施したところ、純資産簿価よりも回収可能額(株価)が上回ったという。株価は支配権を考慮して3割上乗せして算出した。

減損テストは米国会計基準では個別資産・資産グループごとに、国際会計基準では資産全体で実施する。

スプリント株の昨年12月末の終値は4.15ドル。昨年12月半ばに一時3.8ドルまで下落したが、9日の終値は4.87ドルと安値から3割程度戻している。直近高値は2013年12月下旬の11.46ドル。

<スプリントは改善の兆しも>

スプリントの10─12月期売上高は前年比1.8%減の89億7300万ドル(昨年12月末の為替レートで約1兆0817億円)と市場予想を上回り、おおむね前向きの決算として受け止められた。

スプリントプラットフォーム(スプリントが運営する通信サービス)の料金後払いの契約者(ポストペイド)は3万件増。前年同期の5万8000件増には及ばないものの、前の期(7─9月)の27万2000件減からは反転した。ポストペイドの契約者は1契約当たりの月間平均収入(ARPU)が高く、収益力向上のカギを握っている。

(志田義寧)