バンクシー、英国の廃虚に新作 発表時、既に重機で解体済み
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注目のコメント
破壊される建物を舞台としたインスタレーションとしてはJRのPortrait of a Generationが印象的です。
https://www.jr-art.net/projects/clichy---montfermeil
もともとPortrait of a Generationは2004年からJRが始めたシリーズで、パリ郊外のクリシー・モンフェルメイユという貧しい地区の住民の顔写真を28mmのカメラで撮影し写真を大きく印刷して地区の建物の壁などに貼り出す活動でした。
https://www.jr-art.net/projects/portrait-of-a-generation
JRの作品は誰もが行き交う公共空間を展示空間、住民のありのままの写真を題材とする事で、日頃アートに接点の無い人たちも否応無く作品の前に対峙し、それを余所からの異物ではなく自分たちの社会の一部として受け止め議論を触発する「巻き込み力」を大きな特徴としています。
Portrait of a Generationは同じ地区で2005年のパリ大暴動が勃発し、暴動の映像の傍らに写った作品が報道で流れた事からJRの社会的認知が広まるきっかけとなりました。暴動後もJRはその地区に赴き、若者たちのありのままの姿を撮影し「ボボな」パリ市街の路上に貼り出すことで、その地区に対する偏見に対して議論を突きつけました。
そのおよそ10年後に活動の起点となった建物が解体される事を知ったJRは現場に赴き、写真を今度は建物の「内部」に貼り出したのでした。解体するクレーンが建物を「食べる」度に、その建物に住んだかもしれない地域住民の写真が立ち現れては壊される刹那のアートの有様は非常に印象的だと思います。