[15日 ロイター] - スイス規制当局は15日、経営不安が強まっている金融大手クレディ・スイス(CS)の株価が30%急落したことを受け、同社に流動性を供給すると表明し、異例の対応を取った。

スイス金融市場監査局(FINMA)とスイス国立銀行(中央銀行)は共同声明で、CSが「システム上重要とされる銀行に課される資本と流動性の要件を満たしている」と強調し、投資家の懸念に対応。中銀が「必要に応じ」、同社に流動性を供給するとした。

さらに「現在の米銀行市場における混乱の影響が、スイス金融機関に直接的に波及しているリスクの兆候はない」とした。

CSの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンク(SNB)が追加出資できないと明らかにしたことを受け、同社の株価は急落。5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムは過去最高を更新した。

関係筋によると、主要国などからスイスに対し何らかの対応を取るよう圧力がかかっていた。

CSは、2008年の金融危機以降で当局からこのような支援を受ける最初のグローバル金融機関となる。

複数の関係者によると、欧州中央銀行(ECB)は同社へのエクスポージャーを巡り、ECBの監督下にある金融機関に問い合わせている。

ただ、CSに関する問題はシステム全体に影響を及ぼすものではなく、同社特有の問題とみられているという。

米財務省報道官は、同省がCSを巡る状況を監視しており、世界の財務担当当局者と連絡を取り合っていると述べた。

米株市場ではJPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)など米銀大手が軒並み下落した。

複数の業界関係者によると、米銀行大手はここ数カ月間でCSへのエクスポージャーを管理しており、同社から生じるリスクは今のところ管理可能とみているという。

CSの問題を受け、欧州銀行セクターの健全性を巡る懸念が高まる中、ECBが16日に開催する理事会で大幅な利上げを実施するとの見方が後退。短期金融市場では0.5%利上げの確率が20%未満となっている。