「SVBショック」は特殊事例か、よぎる金融危機の苦い記憶
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運用が長期、調達が短期という長短ミスマッチ構造の金融機関が「逆イールド状態下で苦しくなる」という指摘は、1980年代のS&Lの相次ぐ破綻を意識したものであるように感じます。この問題が本格化した当時、銀行の国際金融部門で企画担当をやっていたので記憶に残っていますが、そうしたこともあって、長短ミスマッチのリスクは多くの銀行で当時より遥かに緻密に管理されているでしょう、たぶん。事実、パソコンすらない時代に私も手書きでその管理を始めたくらいですから。
米国住宅供給公社が行き詰り、リーマンブラザースが倒産するなどして引き起こした2008年の金融危機は中年以上の人の記憶に未だ新しいでしょうが、あれは信用力の低い融資が齎す回収不能リスクが一種の仕組債の形で随所にばら撒かれ、どこにリスクがあるか誰にも分からない状態に陥ったことが疑心暗鬼を生んで、資金供給が詰まって引き起こされた感が強いように思います。
報じられているところを見る限り、今回の問題は長期化した低金利の下で特定の銀行が運用資金の半分以上を長期債に回して長短の利鞘を稼ぐ極端な手法に手を出して行き詰った特殊な事例で、リスクの所在も範囲もはっきりしているので、S&L問題やリーマンショックのようなことにはならないように思います。
とはいえ、危機はある日突然、予想もしないことをきっかけにやって来るというのが歴史の教訓です。極端な金融緩和で溢れたカネが、米国金利の急上昇と人々の不安心理でどんな問題を引き起こすか事前に予測することは難しい。だからこそ不測の事態が起きぬよう、FDICとFRBが一生懸命火消しに努めているのが現在の状況であるように感じます。読んでみたが、いろんな人に取材している割には、ダラダラと長いだけで、何を言いたいのかわからない記事。「世界金融危機の苦い記憶が市場参加者の脳裏をよぎりつつある」という書き方もあいまい。記者はもっと編集能力をつけた方がいい。