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アジアから米国への海上物流網、拡大続く東海岸ルート

日本経済新聞
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  • 松田 琢磨
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    拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授

    アジアから米国,カナダおよびメキシコに向かうコンテナ定期航路のことを「北米航路」と呼びます.北米航路には主に三つの経路があります.(1)太平洋を渡って北米西岸のロサンゼルスなどに向かう北米西岸向け航路,(2)太平洋を渡ってパナマ運河を通過,北上してニューヨーク/ニュージャージーなどに向かうパナマ経由北米東岸向け航路,(3)インド洋からスエズ運河,地中海,大西洋を経由して北米東岸港に向かうスエズ経由北米東岸向け航路です.(2)と(3)のことが新聞記事でいう東海岸ルートです.

    米国はカリフォルニア州などを除けば東側の方が人口が多いので,貨物も多くが何らかの形で東岸方面へ向かいます.西海岸で揚げられたコンテナ貨物は鉄道またはトラックでシカゴ方面へ運ばれていきます.かつてアジアからの貨物といえば日本発が多かったこともあり,(1)のルートが圧倒的だったのですが,21世紀以降その優位性が崩れつつあります.理由としては,

    a.鉄道は寡占化が進んでおり運賃が高いため,西岸経由の輸送コストが高くなりがち(このルートが時間も短いですが,鉄道を込みにした輸送コストは高いです)

    b.西岸港はストライキやスローダウンのリスクがある(労働組合の力が強い)

    c.東南アジア,インド方面への生産拠点のシフト(チャイナプラスワン)が進行してスエズ経由の距離が近くなっている

    d.パナマ運河の通航料が以前に比べて高い水準となっており,スエズ運河と変わらない

    こういった背景があり,かつ2020年後半以降のサプライチェーン混乱の問題で強く注目されたがゆえに東岸経由の輸送が増えています.西岸の労使交渉も東岸へのシフトに配慮して交渉が再開されていますが,今後も東岸経由を一定割合維持するという荷主もいます.

    記事にもある通り,西岸の港湾は東岸に比べて大量の貨物を取り扱う設備や体制が整っています.たとえば,東岸からは二段積みの鉄道輸送はできません.日本や韓国,華北や華東からは西岸周りのほうが近いのもありますし,すべての貨物を東岸にシフトする,ということはないと思われます.ただ,コメントもした通り,複線化,強靭化のニーズを背景に東岸シフトはもう少し進むのではないかと考えています.


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