2023/3/3

【陣取り合戦】「中国版スターリンク」で、1.3万基打ち上げへ

South China Morning Post

• 人民解放軍の監督下にある大学の研究チームによれば、中国の衛星はスペースXによる「低軌道資源」の独り占めを防ぐために迅速な打ち上げを行う見通しだと論文で指摘
• 論文によれば、衛星網（プロジェクトのコードネームは「GW」）はインターネットサービスを提供し、ライバルの衛星網の監視やスターリンクに対抗するためのミッションを実行するのに使われる可能性も

INDEX

• 中国の「スターリンク」対抗策
• スターリンクは「衛星破壊が可能」と主張
• マスク氏は「軍事利用制限」表明

中国の「スターリンク」対抗策

研究者たちは、中国が地球低軌道に巨大な衛星網を構築し、世界中のユーザーにインターネットサービスを提供すること――そしてイーロン・マスクが築いた巨大衛星通信網「スターリンク（Starlink）」を抑え込むこと――を目指していると指摘している。

人民解放軍（PLA）の監督下にある北京航空航天大学のXu Can准教授によれば、このプロジェクトには「GW」のコードネームがつけられているが、それが何を表す文字なのかは不明だ。

コメント

注目のコメント

• 藤井 あゆみ

  ますます注目が高まり、様々な情報が交差する宇宙空間。
  ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、米SpaceX社の民間衛星インターネットサービス「Starlink(スターリンク)」が注目されました。
  本記事では、SpaceXに対抗する、中国の1.3万基の衛星の打ち上げ構想について取り上げています。
  
  日米欧のメディアだけでなく、香港のメディアはどう語っているのか。各国のメディアを一読することから見えてくるものがあるのではと思います。
• 平澤 歩

  東京大学 中国思想文化学研究室助教

  ・2023年03月03日

  インターネットは、1960年代にアメリカ国防総省が構築した軍事用通信網ARPANETから始まります。
  1970年代に類似のネットワークが各所で構築され、1980年代にARPANETを含む各ネットワークが相互接続されて、現在のインターネットの形になりました。
  謂わばインターネットは、もともと軍事目的から始まったのです。
  
  中国政府には、平時に世界中にサービスを提供しておくことで、有事の際にはそれを引き上げて対立国を混乱させる、という狙いがありそうです。
  逆に言えば、そういったことをしておかないと、有事の際に対立国（要するにアメリカですが）からサービスを引き上げられて困るかもしれないのですから、攻撃とともに自衛も兼ねた取り組みと言えるでしょう。
  
  インターネットと軍事との、新たな関係性が始まっているのかもしれません。
• 佐藤 元則

  NCB Lab. 代表

  ・2023年03月03日

  中国は気球で偵察がバレたため、衛星に方向転換したのでしょうか。その目的が世界の監視と、国防あるいは、地球制覇というのでは、なんとも情けない。社会的な意義のない施策はいずれ失墜します。