[ワシントン 23日 ロイター] - バイデン米大統領は23日、世界銀行のマルパス総裁の後任候補として、インド系米国人実業家のアジェイ・バンガ氏(63)を指名すると発表した。バンガ氏は米クレジットカード大手マスターカードの最高経営責任者(CEO)などを務めた経歴を持つ。

世銀は15日、マルパス総裁が任期満了を待たず6月末までに退任すると発表。これを受けて世銀理事会は22日、マルパス総裁の後任を5月上旬までに選出する方針を明らかにした。

バイデン氏が指名したことでバンガ氏の就任はほぼ確実となった。

米シンクタンク、世界開発センターのシニアフェローで、元米財務省高官のスコット・モリス氏は「世銀理事会が後任選出のプロセスを開始してから48時間以内というスピードは、ライバル候補の出現を阻止して早く確定させたいという願望を反映しているようだ」と述べた。

バイデン氏は、バンガ氏が数十年にわたり、気候変動や移民への対応に資金を提供するグローバル企業や官民パートナーシップを築いてきたことに触れ、世界のリーダーと仕事をしてきた実績があると指摘。

声明で「歴史上重要な時期に世銀を率いるのに比類なくふさわしい人物だ」と述べ、インドのルーツと途上国が直面する課題に関する知識、大きな問題に取り組むために民間資本を動員する能力を持つと同氏を高く評価した。

米州開発銀行総裁としてバンガ氏と緊密に連携したルイス・アルベルト・モレノ氏は、バンガ氏のインドやその他の新興市場での活動、金融包摂拡大への熱意、新技術への深い知識が、富裕国と新興市場の溝を埋めるのに役立つだろうと述べた。

インド政府の元経済顧問、クリシュナムルティ・スブラマニアン氏によると、インドはバンガ氏の指名を支持する見通し。

世銀の総裁は歴史的に、最大の出資国である米国の出身者が務めてきた。

世銀は3月29日まで各国から候補者を募っている。米国と並び世銀への大口出資国であるドイツは、女性候補者が望ましいとしている。

米政府高官は他の国が候補者を推薦するかどうかは分からないと述べた。