(ブルームバーグ): アップルは非侵襲型の血糖値測定機能の開発で大きく進展していることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

穿刺せずに血液中のグルコース(ブドウ糖)を継続的に測定できる技術で、最終的に同社のスマートウオッチ「アップルウオッチ」への搭載を目指しているという。ウオッチへの搭載が実現すれば、画期的な技術革新となる。

関係者らによれば、アップルはこの極秘プロジェクト「E5」に12年余り取り組んでいるが、ここ最近に極めて大きく前進。この測定機能の実現性が社内で示されたという。

アップルの広報担当は同社の計画についてコメントを控えた。

同技術の実装は数年先になるとみられるが、この取り組みは数十億ドル規模の産業を根底から覆す可能性がある。米国ではおよそ10人に1人が糖尿病を患っており、通常は穿刺器具を用いて採血している。デクスコムやアボット・ラボラトリーズなどはセンサー部分を皮膚に刺して使うパッチ式の血糖測定器を出しているが、約2週間おきに交換する必要がある。

アップルのエンジニアは、上腕部に装着可能な「iPhone(アイフォーン)」サイズの試作機を開発しようと取り組んでいる。卓上サイズだった初期バージョンからは著しい小型化となる。

この技術が目指すゴールの一つは「糖尿病予備軍」に警告を発し、生活習慣を変えることで2型糖尿病の発症を防ぐことだという。アップルの規制対策チームはすでに、同システムの承認を政府から取得することについて初期段階の話し合いを行っている。

ただ、アップルの取り組みが「ムーンショット(困難だが実現すれば大きな影響をもたらし得る挑戦)」とされるには理由がある。これまで多くのスタートアップや世界的大企業が非侵襲型モニタリングシステムの開発に挑み、失敗してきた。グーグルは2014年、涙で血糖値を測定できるスマートコンタクトレンズの開発計画を発表。しかし、18年にこの複雑なプロジェクトを棚上げしている。

原題:Apple Makes Breakthrough in Secret Bid to Track Glucose on Watch(抜粋)

(第5段落以降に情報を追加して更新します)

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