成長戦略の大きな柱「コーポレートガバナンス」を考える(1) - 安東泰志の真・金融立国論
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政府の成長戦略の柱になっている「コーポレートガバナンス」だが、その内容は意外に理解されていないようだ。本稿では、難しい法律論をなるべく排除し、庶民の日常生活に照らして極力平易に解説を試みる。コーポレートガバナンス改革の真の狙いは、旧弊と既得権益の打破であり、とりわけサラリーマン的な「内輪の論理」による経営にストップをかけることにある。
時代は変化している。「サラリーマンの上がり」のような選ばれ方をした「ヒラメ」のような無能な社内取締役が、「出る杭」を打って有能な人材を排除し、横並びを是としがちな日本企業は日本経済衰退の元凶だ。当然、この改革に強く反対し骨抜きを画策しているのは「日本的経営」にノスタルジーを感じている今の「サラリーマンの上がり」の経営層であり、そういう「既得権益集団」で構成されている経団連だ。
2回シリーズの第1回。
注目のコメント
ガバナンスの議論の前提である、会社の種類が整理されている。監査役会設置会社では社外取締役が義務ではないのに対して、委員会設置会社では義務であることから、株主総会でも社外か否かの判断がより厳しいなどの実務上の違いがある(メインバンク出身者を委員会設置会社では社外とは判断せず否認するが、監査役会設置会社では完全内部の人に固められるよりマシなので是認するなど)。
本論から逸れるが、ガバナンスの議論は、雇用の在り方とも併せて考えるべきだと思う。コーポレートガバナンスの徹底は、基本的には株主利益を目的とする。記事にあるように、日本ではこれまで従業員が重視されてきて、年功序列・生涯雇用などの代わりに会社に一種捧げることを求められてきた。逆に会社側が株主を向くということは、従業員側は会社ではなく自分自身のキャリアを追求する時代になっていくと思う。例えば株主利益のために、不採算事業撤退ももっとやるのであれば、従業員は他に移ることを考える。またマーケットプライスを給与として求めることも必要で、企業はそれを出して人材を定着・獲得する必要がある。そこを中途半端に進めれば、企業(=株主)も従業員も、幸せにならないと思う。以下引用されている通り、コーポレートガバナンス・コードの制定はこの結果で終わってしまえば、残念。社長らが「指名委員会」が好きじゃないから、経済産業省が設計した(指名員会がない)「監査等委員会設置会社」というモンスター。日本のガバナンスの根本的の問題にメス入れず、投資家をconfuseさせるのみ。
「コーポレートガバナンス・コードの制定によって社外取締役2名以上の選任が事実上義務付けられるため、現時点で監査役会にいる2名の社外監査役をそのまま取締役にすれば済むという、安易な理由で監査等委員会設置会社に移行する上場企業が多いのではないかという推測もあるようだ。そうだとすれば残念なことだと感じている。」