東芝買収を最終提案 JIPなど日本連合、2兆円規模
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正式発表ではないようですが、この規模の最終提案をまとめられたとすると、とんでもなく凄い。エクイティもですが、現状、かなり厳しくなっていると聞くLBOファイナンスで1.2兆円をまとめるとは。
銀行団も含めて東芝のポテンシャルを評価しているということなのでしょう。
表面的には、2022年度のEBITDAの着地見通しが2350億円のようなので(2022/11IR資料)、EV/EBITDA倍率は、2.2兆円/0.235兆円=9.36倍。ポテンシャルや将来CFを高く評価しないとなかなか出てこない数字ではあると思います。表面上の企業価値評価も大事だが、経営体制の刷新、ガバナンス体制、企業価値向上に向けた戦略が極めて大事。金融機関の融資が大きく影響するバイアウトだが、国家保全という軸だけではなく、事業競争力、産業競争力の強化を通じた企業価値向上の戦略をしっかり見極めて判断してほしい。
それには、経営体制の刷新、ガバナンス体制、企業価値向上に向けた戦略が極めて大事。それなしには融資した資金も回収できないし、日本にとって大事な技術や人材が流出することになってしまう。
会社からの正式な発表は決算以外では以下の2つが最新。正式かつ詳細な発表を待ちましょう。
2022/9/30
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/jp/ir/corporate/news/20220930_1.pdf
2022/12/16
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/jp/ir/corporate/news/20221216_1.pdf経済団体を中核に据え、政府の意向に従順な企業が多い日本において、東芝は株主主導でこれに逆らってきた構図があり異質に映っていたかもしれませんが、株式公開されている会社に対して株主が企業の方向性を主導することは法的にも、国際的にもそれが普通です。したがって、原子力や防衛産業に深くかかわる東芝に対して、不特定な株主の意向通りにさせたくないなら、まずは非公開化が必要条件になります。
今回の企業再編のスキームについては、日本連合に優先交渉権が落とされたことからみて政府の意向通りだと思います。これまで日本企業(特に金融機関)は収益力に乏しい企業に投資し、企業再生を行うことは外国企業のそれとは異なり得意とは言えなかったと思います。理由は組織としての慣習や体裁を重んじすぎることと意思決定の非効率さです。
企業価値を将来にわたって計算する上で、企業再生の結果を高く見積もることができなければ出資上限が低くなりますが、それでは事業再編できないという矛盾が起こります。今回はこの段階で躓く恐れがありましたが、日本の金融機関をはじめとする出資者連合はかなり難しい判断のなかで、必要額の出資に同意したということがわかります。おそらく政府の意向に賛同したということだと思います。確定内容はここまでです。
しかし今後も、(1)過半数を超え日本政府の意向が及ぶところではない外国人株主が、高くないプレミアム価格でTOB(株式公開買い付け)に応じるかが不透明、(2)円安によりドル建ての支払金額が低下することへの外国人株主の不同意のリスクが予想されるなどの要因が思い浮かぶことから引き続きの試練も予想され、TOBを成立させるために日本連合に出資額のさらなる上積みが不可欠になった場合、参加する各企業は自身の体力を考えて拒否する可能性もあります。しかし非公開化にはTOBを成立させることが不可欠です。