(ブルームバーグ): 昨年11月に発表された「ミシュランガイド東京2023」では東京に朗報があった。日本の厳しい新型コロナウイルス感染対策をよそに、3つ星の12軒を含め都内でミシュランの星付きレストランは200軒に上った。これはどの都市よりも多い。

最新のミシュランガイドには、客単価が軽く5万円に上り、何年も修行した職人がにぎる高級すし店が複数掲載されたが、これは珍しいことではない。

注目すべきは、型にはまらないやり方ですしを提供する店がリストに含まれたことだろう。

高級店がリーズナブルな価格ですしを提供する分店をオープンさせることは一つの方法だ。これは米国では既に普及しており、ニューヨークとロサンゼルスにある人気店「Sugarfish」は有名すし職人の野澤和徳氏が2008年に設立したものだ。ただ、日本のすし業界ではこうした動きは比較的新しい。このトレンドが始まったのは、コロナ禍の行動制限で出張や会社の経費を使った飲食が減少したことが一つの背景だ。運営会社は地元の客が頻繁に来店できるようなお手頃価格の店をオープンし始めている。

東京でもう一つのトレンドは立ち食いずしだ。立ち食いスタイルは駅近のそば屋が一般的だが、ラーメン店やステーキハウスでも回転率を上げるために採用されている。江戸時代にさかのぼれば、すしは主に海沿いの地域の屋台で売られていたファストフード的な軽食だったが、最近のすしは少しぜいたくになっている。

都内の魅力的な新しいすし店を以下に6店舗選んでみた。

鮨結う翼

2021年7月に恵比寿にオープンした「鮨結う翼」は、六本木の「鮨 由う」で修行した職人がすしを握る。おまかせコースは握り10貫程度とプリン巻き、小鉢などを含めて1万3200円。シャンパンや日本酒なども含む飲み物放題メニューである点が特徴。

寿司海路

伝統的な懐石料理を提供する「ぎんざ 山路」がオープンした「寿司海路」は、おまかせコースが5800円から。クエやホッキ貝、タイなどのすし8貫が含まれるほか、顧客が好みに合わせて注文できる選択肢もある。席数は10席。麻布十番駅から徒歩3分。

鮨 銀座おのでら 登龍門

廻転鮨 銀座おのでら本店

ニューヨークやホノルルで高級レストランとして有名な「銀座おのでら」は、都内でお手頃な店をオープンしている。

「鮨 銀座おのでら 登龍門」は、ミシュランガイドの星を獲得した「鮨 銀座おのでら」で提供されるのと同一のネタを使用する立ち食いすし店。「鮨 銀座おのでら」ではディナータイムのおまかせコースが税込み2万7500円だが、登龍門では1貫から注文でき、平均の食事代金は6000円から8000円。登龍門の名前が表す通り、この店は3年以上の経験を積んだ若手職人の修業の場という位置付け。

回転ずしは、比較的安価なすし業態の中でより一般的だが、銀座おのでらが表参道でオープンした「廻転鮨 銀座おのでら本店」は高級感があり、中トロやマグロ、穴子などの人気メニューがそろう。

立喰 鮨となり 

ミシュランガイドの比較的安価で価格以上の満足感が得られる店を集めた「ビブグルマン」に選ばれた「立喰 鮨となり」は昨年麻布十番にオープンした。おまかせランチを1万8700円で提供する「麻布十番 秦野よしき」が手掛ける立ち食い店で、6600円のおまかせコースもあるが、写真と説明のついたデジタル機器を使い一貫ずつ注文することもできる。1時間単位でLINEから予約できる。

立喰い寿司 あきら

「立喰い寿司 あきら」もビブグルマンに選ばれている立ち食いすし店。完全紹介制の「鮨 龍尚」の店主が経営する。龍尚の9席のカウンター席に座るには紹介が必要だが、立喰い寿司 あきらでは待つのをいとわなければ誰でも食べることができる。予約制ではないため行列ができることがよくある。順番を待つ間にイワシ440円、ヒラメ490円などが並ぶメニューから注文表を記入できる。

原題:Tokyo’s Luxury Sushi Restaurants Go Casual With Budget Spinoffs(抜粋)

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