[2日 ロイター] - 米グーグルの持ち株会社アルファベットが2日発表した2022年第4・四半期決算は、売上高と利益が市場予想を下回った。経済減速が企業の支出を圧迫する中、デジタル広告事業が振るわなかった。

アルファベットは引け後の時間外取引で約5%下落した。

売上高は760億5000万ドルと、前年同期の753億3000万ドルからに増加したものの、リフィニティブのまとめたアナリスト予想の765億3000万ドルには届かなかった。

検索や動画投稿サイト「ユーチューブ」を含むグーグルの広告収入は590億4000万ドルと、3.6%減少した。

純利益は136億2000万ドル(1株当たり1.05ドル)と、前年同期の206億4000万ドル(同1.53ドル)から減少した。1株利益は1.18ドルの市場予想に届かなかった。

スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会見で「われわれは強い規律の下で責任ある投資を行い、コスト効率を高める余地のある分野を特定する決意だ」と表明。

第4・四半期の業績については、広告主の支出抑制や為替の悪影響を受けたと説明。その上で、人工知能(AI)ソフトに重点を置く考えを示し、チャットボット(自動応答システム)「LaMDA(ラムダ)」の提供を数週間内に始めると明らかにした。

アルファベットはAI開発を長く主導してきたが、チャットボット「チャットGPT」を保有する米企業オープンAIに積極的に投資しているマイクロソフトとの競争が激しくなりつつある。

同社は先月、全従業員の約6%に当たる1万2000人の削減を決め、AIの取り組みを強化する方針も示した。ルース・ポラット最高財務責任者(CFO)は、全社的に今年は採用ペースを大きく落とすと語った。

インベスティング・ドット・コムのシニアアナリスト、ジェシー・コーエン氏は「同業他社に比べ、広告分野で最も影響を受けていない企業の一つと見られているにもかかわらず、四半期決算が不振だったことはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の悪化と厳しいマクロ経済環境が広告主に支出削減を促していることを改めて示している」と語った。

ユーチューブの広告収入は約8%減の79億6000万ドルで、ファクトセットによると、予想の82億5000万ドルを大きく下回った。

一方、クラウドの収入は32%増の73億2000万ドルとなり、明るい材料となった。ただ、同事業の収入を開示し始めて以来、最も低い伸びだった。

ポラットCFOは、今年の設備投資は昨年と同水準になる見通しだと述べた。リモート勤務する従業員の増加と人員の最適化に伴い不動産関連経費を削減できると想定しており、第1・四半期に関連費用として5億ドル前後を計上すると述べた。