2023/1/24

飲食業界に衝撃。「世界一のレストラン」閉店が意味するもの

INDEX
  • 世界の食通を虜にした「ノーマ」
  • 「ビジネスモデル」の限界
  • 犠牲の上に成り立つ贅沢
  • コロナを機にピリオドを打つ
  • 労働環境にレッドカード
  • 名声の裏で果たせなかった理想
  • 「生産ライン」からの脱却

世界の食通を虜にした「ノーマ」

新鮮な松葉の上にグリルしたトナカイの心臓を載せ、ミツロウの器でサフランのアイスクリームを提供する──
「Noma(ノーマ)」は、20年前にデンマークのコペンハーゲンにオープンして以来、高級レストランの概念を一変させた。
世界の美食を追求する旅人たちは、1人最低500ドルを払って、このレストランの得意料理を集めたデギュスタシオンコースを味わうために、休暇のスケジュールを調整し、ファーストクラスの航空券を予約する。
ノーマは、世界のベストレストランのランキングで何度も上位に入り、創業者の1人であるレネ・レゼピは、当代で最も優秀かつ影響力のあるシェフとして称賛されてきた。
ところがレゼピはこのほど、2024年末にノーマの通常営業を終了することを本紙に明らかにした。
今後は、Eコマース事業である「ノーマ・プロジェクト」のために新しい料理や商品を開発する食品ラボとなり、期間限定のレストランとして営業するときだけダイニングルームをオープンする。
レゼピの立場もシェフというよりCEOに近い役割になるだろう。
「ノーマ」のシェフ、レネ・レゼピ(Ditte Isager for The New York Times)