(ブルームバーグ): 米マイクロソフトは、チャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」などを手掛けるオープンAIに100億ドル(約1兆3000億円)投資する。チャットGPTは昨年11月の公開から数日間でユーザー数が100万人を超え、職場での人工知能(AI)活用を巡る議論が再び活発になっている。

マイクロソフトは2019年の段階で既にオープンAIに10億ドル出資しており、21年にも資金を提供した。新たな投資を通じ、最も人気が高い最先端のAIシステムの一部にアクセスできるようにするのが狙いだ。マイクロソフトは急速に成長するAIの分野でアルファベットやアマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズと競合している。

一方でオープンAIは、大量のデータを素早く処理したり、チャットGPTや画像生成ツール「Dall-E」といったプログラム稼働のための複雑化するモデルを運用したりする上で、マイクロソフトの資金とクラウドコンピューティングの力を必要としている。

マイクロソフトは具体的な投資額については明らかにしていない。ただ事情に詳しい関係者によれば、投資額は複数年で合計100億ドルとなる。この関係者は情報が公になっていないとして匿名を条件に語った。同社の株価は23日の取引で一時2.1%上昇した。

今回の取引はオープンAIに対し同社の複雑なAIモデル運用と研究加速に向け特別に設計された追加のスーパーコンピューターを提供する一方、マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」の向上につながる。マイクロソフトはオープンAIのモデルを消費者および法人向け製品全体に活用し、オープンAIの作業に基づく新たな製品カテゴリーを投入する計画だと、両社はブログで説明した。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アヌラグ・ラナ氏は今回の合意で弾みを得るアジュールの活用が、この事業の拡大に奮闘するマイクロソフトにとって鍵になると指摘。マイクロソフトがアマゾンのクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とのギャップをさらに縮小するのにも「これは寄与するかもしれない」と語った。

マイクロソフトのサティア・ナデラ会長兼最高経営責任者(CEO)は発表文で、「最先端のAI研究を責任持って前進させ、AIを新たな技術プラットフォームとして民主化させるという共通の熱意の下、オープンAIとパートナーシップを結んだ」と説明した。

オープンAIは23日の発表文で、手掛けるモデル全てのトレーニングにおいてアジュールを利用すると説明。マイクロソフトの投資により、独立した研究を加速できるとした。アジュールはオープンAIの独占的なクラウド提供者であり続ける。

オープンAIのChatGPT、マイクロソフトが「アジュール」に近く追加

マイクロソフトは1週間足らず前に1万人の削減を発表したばかり。ただ当時の発表で同社は、重要な優先分野では投資と人材採用を続けると説明していた。同社は24日に昨年10-12月(第2四半期)決算を発表する。

マイクロソフト、1万人の雇用削減を計画-12億ドル費用計上へ (1)

原題:Microsoft Invests $10 Billion in ChatGPT Maker OpenAI (2)、Microsoft Invests $10 Billion in ChatGPT Maker OpenAI (1)(抜粋)

(株価や識者のコメントなどを追加し、更新します)

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