東電旧経営陣、二審も無罪 福島原発事故で強制起訴
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私はこの原発事故を取材する過程で、91年の漏水事故に注目しています。冷却用の海水パイプの一部が腐食し、非常用ディーゼル発電機に漏れ、水没するトラブルがありました。この時、原発運転員だったある東電社員は、今回被告として名前があがった幹部の部下でした。トラブルを受けて、直属上司に津波による過酷事故の解析をするべきでは?と提案しました。これに対し上司はその意味を理解しつつも、組織の中で口にすることはタブーであると述べたと言う事です。
国の津波評価よりも昔に、実は非常用電源が失われる事態を想定していた社員はいたものの、そこに向き合わなかった組織の責任は、やはりあるのではないかと思っています。あの津波は「1000年に1度」と言われた。過去の地層を調べても1000年ほど前に同レベルの津波があったことが分かっていたようである。その意味では予見ができたとも言える。
一方、旅客機は毎年のように墜落事故を起こしている。墜落確率は0.0009%と言われており、438年間毎日搭乗すると1度は墜落する。その意味では旅客機の墜落も予見できているが、乗客全員に戦闘機のような緊急脱出装置をつけようという話にはならない。とてもコストに見合わないからだ。
最近推進の方向に向かっている原子力発電所だが、戦争が起こってミサイルが打ち込まれる確率は「1000年に1度」よりはるかに高いだろう。かといって全ての原発にPAC3を配備しようという話にはならない。
1000年に1度の対策を企業や個人に負わせるかどうか、なかなか難しい問題だと思います。責任者が責任を取れない。
それほどの惨事を引き起こす可能性のある原発を、今まで誰が推進してきたのか。もちろん東電の会長や社長だけが推し進めてきたわけではない。国民も含め、多くの人たちが関わっているはずだ。
この構図は、第二次世界大戦にも共通してはいないだろうか。伊丹万作さんの有名な文章「戦争責任者の問題」を読むと、よく理解できる。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000231/files/43873_23111.html
ちなみに、第二次世界大戦の時は多くの一級戦犯が裁かれ、死刑にもなっている。