「利上げ」なのか「利上がり」なのか、構造変化なら日銀は再び変動幅拡大へ 巨大な国債市場、コントロールできるのは中央銀行でも投機筋でもない
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市場で決まるべき金利を中央銀行がコントロールするのはそもそも無理筋で、だからこそ禁じ手とされ日銀以外の中銀は手を出さないのです。「主要国の金融政策において、これまで『期待に働き掛ける』という要素が強くなってきた」とありますが、これは80年代初頭の米国の強烈なインフレを大胆な金融引き締めで抑えて長期に亘る経済成長の土台を作ったボルカー元FRB議長の成功あたりから次第に強まった中央銀行万能論の産物で、当のボルカー元議長はこうした風潮を寧ろ警戒していたと聞き及びます。
お金の量をコントロールして物価を安定させ潜在成長率、即ちそれぞれの国の本質的な成長率に沿って経済を成長させることが本旨の中央銀行が、2%というインフレ目標を置いて期待という掴みどころの無いものに働きかければ潜在成長率そのものが高まって実体経済が実力以上に成長するかの如き風潮は、労働力と資本設備と技術力の蓄積を通じて潜在成長率を高める政府の役割を曖昧にし、経済の振幅を大きくして一国の中長期的な成長力を却って落とすことになりかねません。
禁じ手である長期金利までコントロールして期待に働きかける日銀の行き方は、期待に依存する政策、即ち中央銀行万能論を極端にまで推し進めたもので、もともと大きなリスクを内包します。無理に無理を重ねて長期に亘って続ければ歪が大きくなることは当然で、こうした政策が政府の低利の借金と日銀が抱える低利国債と低利の民間債務を膨張させ、利上げに耐えられない日本経済の現況を作ってと言って過言ではないでしょう。日銀が期待に働きかければすべてが解決するとの幻想で政府が日銀に頼り切り、日本の成長を支える企業立地条件に政府と国民の目が向かなかったのもこうした政策の負の局面です。
政府の巨額の赤字と借金、日本の貿易赤字の拡大とその結果として起きかねない経常収支の赤字(≒日本国そのものの赤字)、そしてインフレは金利が上昇する要因です。いまはもう、こうした要因が悪化して日銀が金利のコントロール力を失う事態が起きぬよう祈るほかありません。
日銀が主体的に、かつ時間をかけて出口を探る余裕を与えられれば良いですが・・・ 記事は冷静に現況を捉えて書かれているように思えて納得です ( ..)φメモメモもともと、日本経済に絡みつく「不振感」を、大胆な金融緩和により短期で払拭しようとしたのが異次元緩和だった。しかし、短期ではそれは実現できないというのが過去10年の経験だ。その上に、今回のような構造的かもしれないグローバル経済の環境変化が重なった。
要するに、患者に対する処方箋が間違っていたということではないでしょうか。その処方箋(大規模金融緩和)が万能・特効薬だと喧伝していた筋が、その責任を取ることがなく、また新たな処方箋(財政拡張)を示すことに躍起となっています。
では、大規模金融緩和は万能だと解いた最初の処方箋とは、一体何だったのでしょうか。万能薬に動学的不整合性などあり得ないはずですが。ディレバレッジ(レバレッジ取引の解除)が進行しているとのことで、先月の0.5への長期国債の上限修正を受け、不動産価格は下落の流れが始まっているとのことです。これまで上昇を続けていた日経平均株価とそれに連動すると言われる不動産価格ですが、ここに来て一気に市場は冷やされているようです。
参考:人気のタワマンが全然売れない…膨れ上がった「不動産バブル」も日銀黒田総裁の辞任で崩壊寸前
https://newspicks.com/news/8000042
引用:「日銀が実質的な金利上昇を発表した日、東証リート指数は100ポイント(5%)以上下がりました。その後、戻していますが、政策変更前の水準に届いていない。金利上昇はそれほどセンシティブに不動産投資に影響を与えるものなのです」