2023/1/19

英会話上達を阻む“4つの壁”を最先端AIが取り払う

News Picks Brand Design Senior Editor
 たくさん勉強してきたのにしゃべれない。「今度こそ!」と始めたのに続かない――。
 TOEICで高スコアを達成しても、ビジネスの現場で話すと英語が口から出てこない。
 英語のスピーキングに挫折してきた人は少なくないだろう。
 そんなビジネスパーソンたちから注目されているのが、AI英会話学習だ。
 AI英会話「スピークバディ」はAIとの対話を通じて発音やフレーズなどを学ぶことができる新しい英会話学習サービスだ。
 2022年12月には累計利用者200万人を突破し、英会話アプリとして首位の座に位置している。
 スピークバディ代表取締役CEOの立石剛史氏は「AI技術によって英会話学習の利便性が向上することで、講師と学ぶ対面、オンライン学習の時代からAIと学ぶ時代に変わるでしょう」と語る。
 私たちはなぜ英語学習に挫折してきたのか。
 AIとの学習には人との学習と比べてどのような優位性があるのか。
 今度こそ英語を話せるようになるのか。上達を裏付けるAI技術とは。
 新時代の英会話学習について伺った。
1983年生まれ、東京都出身。起業前は外資系投資銀行で上場企業の資金調達やM&Aアドバイザー業務に従事。日系証券会社の香港駐在も経験。就職内定当時TOEIC280点だったことから、業務上必要な英語レベルに達するのに大いに苦労し、その経験が現在のサービス開発に繋がった。2016年9月にAI英会話「スピークバディ」をリリースした後、コーチング・英語学習Q&Aと幅を広げながら、人生の可能性と選択肢を広げるための事業展開を続けている。現在はTOEIC満点・英検1級。会計士二次試験、当時最年少合格。

なぜ日本人は英語を話せないのか、英会話の“4つの挫折の壁”

──英語を一生懸命に学んでもなかなか話せるようにならず、悩んでいるビジネスパーソンは非常に多いです。なぜ、英会話力はなかなか上達しないのでしょうか。
 まず、大きいのが学習方法の誤りです。
 多くの人は、学生時代に英語を義務教育や大学受験で、文法や単語を中心に学んできました。
 社会に出てからもTOEICで点数を取るために、リーディングやリスニングのインプットのみの学習に偏りがちです。
 しかし、スピーキングは“アウトプット”の練習を繰り返さないと、決して上達しません。
 まずは実際に英語を声に出して話してみる。
 そして、英語ができる人に「今の発音は良いね!」「もっとこんな表現を使うと伝わりやすいよ」といったフィードバックをもらう。
 それを踏まえて覚えた表現を使ってみる。苦手な発音を改善する。
 こういった、インプットからアウトプットにつなげて、自分のなかで使えるようにしていくプロセスをどれだけこなせるかが鍵となります。
──英会話学校やオンライン英会話で学べば、“アウトプット中心の学習”になるのでしょうか。
 対人の英会話もアウトプットする練習を積むには非常に良い機会になります。
 ただ、今までの英会話学校やオンライン英会話は、我々の調査では挫折している方が9割以上です。
 十分なアウトプットの量に到達する前に辞めてしまう方がほとんどなので、本人にかなり強いモチベーションがない限り、お勧めできません。
 理由は、対人の英会話学習には、学習の継続を阻害する“4つの挫折の壁”が存在するからです。
 まず一つ目が“心理の壁”です。
 人前で英語を話すのが恥ずかしい、間違えるのが怖いと感じた経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
 こうした気持ちがあると、堂々と発音をするのをためらってしまったり、失敗が怖くて新しく学んだフレーズを使うのを避けてしまったりして、上達の妨げになります。
 また、レッスンから足を遠のかせる要因にもなります。
 二つ目が“効率の壁”です。
 英会話の場合、個人によってレベルや目的の違いが大きいため、効率的な上達には、カリキュラムがレベルや目的に合わせて設計されている必要があります。
 そのカリキュラムに沿って、表現や言い回しをインプットし、それをアウトプットすることが上達には欠かせません。
 しかし、オンライン英会話などではカリキュラムがなかったり、画一的だったりするうえ、レッスンごとに講師が変わることもあります。
 講師が変わると、前のレッスンからの継続性に乏しく、自己紹介に時間を取られたり、新しい講師とNice to meet you.からやり直すことになったりして、学習の効率が下がってしまいます。
 また、新しい講師は、学習者のレベルを十分に把握しないまま、レッスンが進めることになりかねません。
 これでは新しい表現を学んだり、使ったりすることにはならず、上達はおぼつかないでしょう。
 逆にカリキュラムを予定通りに進めるという点に意識を置くと、覚えたことを定着させる反復練習が手薄になってしまいます。
 対人学習はアウトプットの実践の場にはなるかもしれませんが、学習効率という視点で見た場合、あまり効率が良いとは言えないのです。
 三つ目が“場所の壁”です。
 個人レッスンや語学教室であれば、決まった時間に決まった場所に行く時間的、精神的なコストがかかります。
 オンライン英会話の場合でも、授業を予約して、PCを開いて、Zoomを立ち上げて、気合を入れて画面に向かわなければなりません。人気講師の予約は常にいっぱいで、自分の都合とは合わないこともしばしば。
 忙しさで予約をしそびれたり、せっかく取れた予約も仕事で遅刻したり行けなくなったりして、やる気が続かなくなってしまいます。
 四つ目が“費用の壁”です。
 基礎的な文法や英単語を習得済みの日本人が、英会話を習得するまでに必要な学習時間は1000時間と言われています。
 オンライン英会話であれば、1日1レッスンのプランで月額6000〜1万円程度かかります。ご自身の現在の学習ペースで1000時間学ぶまでにいくらかかるか計算してみてください。
 また、忙しくてレッスンが受けられない月が続くと、費用の負担が解約の後押しになってしまいます。
──“4つの壁”については、誰にでも心当たりがありそうです。
 私たちはつい、「英語学習を継続できないのはやる気が足りないからだ」などと思い込みがちですが、強いモチベーションがあって「さあやろう!」と思っても、こうしたハードルに阻まれているのです。
 そもそも、英語と日本語は言語的に見ても単語や文法の差異が大きく、日本語を母語とする私たちにとって、英語を学ぶこと自体の難易度が高いとされています。
 そして学校教育でも、前述のように英語を「話す」ためのトレーニングをほとんど受けてきませんでした。
 かなり不利なスタート地点に立っている以上、先に挙げた“4つの壁”を意識的に取り払う必要があるんです。

学習意欲を阻む壁を取り払うには

──これまでお話しいただいた課題はどうやったら解決できるのでしょうか。
“4つの壁”をなんとか取り払えないかと考えた末に開発したのが、AIによる英会話アプリ「スピークバディ」なんです。
 スマートフォンで、AIを相手にいつでもどこでもレッスンできれば、“場所の壁”はなくなります。
 これなら通学やPC立ち上げの手間はかかりませんし、オンライン英会話などと違い講師との予定調整も不要です。
 何度間違えても気兼ねなく、いくらでも反復練習できるため、“心理の壁”もありません。
 現在の会話力や過去の学習履歴に基づいてカリキュラムが自動的に組まれるので、効率的な学習が可能ですし、苦手な文法・発音もAIで自動的に蓄積されるため、自分で単語帳を作る必要がなく、復習も効果的です。
 こうしたアシストによって、“効率の壁”も取り払えます。
 相手が人でなければ人件費もかからず、“費用の壁”も大幅に下がります。
 スピークバディの1カ月プランは3300円で受講可能です。
 4つの壁が取り除かれたことにより、煩わしさを感じずに英会話レッスンを受けることができるようになりました。
 利用頻度の高い方は、一日に何時間もスピークバディを使っています。 
 なかには年間1000時間レッスンを受けている方もいます。一日平均で3時間弱の学習をしている計算になります。
 対人のレッスンで、それだけの時間を消化するには、何年もかかりますし、費用も数百万円にも上るでしょう。
 英会話のレッスンは、2000年代の“駅前留学時代”、2010年代の“オンライン英会話時代”と徐々に利便性を高めてきました。
 AIの技術的進歩によって、それらが抱えるデメリットを乗り越える、次の時代が到来したと私は考えています。
 AI相手であれば自分のペースで、場所や人目を気にせず、徹底的にアウトプットの練習を繰り返すことができる。他の学習方法に対する優位性は明らかだと考えています。

“AI英会話”を支える最新技術

──AIを相手に学習するのは、退屈で張り合いがないようにも思うのですが、本当に効果が上がるのでしょうか。
 学習目標・カリキュラムの設定、AIとのコミュニケーション、独自の音声認識による発音矯正など上達を支援する仕組みやノウハウが詰まっています。
 利用者の方の英語力の現状をしっかり把握し、目標に合わせてカリキュラムを組み、AIが人間の講師以上の精度でフィードバックをしてくれます。
 学習の流れとしては、まず、最初にアプリ内で学習目的を「ビジネス」「旅行」「日常会話」といった項目から選んでいただきます。
 それから簡単なスピーキングテストを受けると、AIがスピーキング力を10段階で判定します。
 最後に毎日どれくらいの時間、量の勉強ができるのか登録してもらいます。
 これによって、日々のレッスン内容やカリキュラムが設定され、「あとはやるだけ」です。
 カリキュラムは「ビジネス」「旅行」などのコースに分かれており、毎日1レッスン(15分)×約30日間で修了します。
 レッスンは全部で800以上あり、目的に特化して何度でも練習できるため、非常に高い学習効率を実現できます。
 1回ごとのレッスン構成は、単語を学び、リスニングを行い、英会話と英作文をやったうえで応用に進むという5つのステップで作られています。
 会話がカリキュラムの主軸にあるものの、インプットの時間もしっかりと用意されているので、「インプットを踏まえたうえでのアウトプット」ができます。
スピークバディの使用画面。具体的なシチュエーションに基づいてレッスンが進んでいく。レッスンは単語学習などのインプットから、AIへの会話を通じたアウトプット練習へと進んでいく。
 AIは個々のユーザーの学習履歴を蓄積して「機械学習」を行い、利用者が何ができるか・できないかを判断して、次のカリキュラムや復習項目を提示してくれます。
──スピーキングのレベルはどのように測っているのでしょうか?
 CEFR-J(セファールジェイ)を基準として測定しています。
 CEFR-Jとは、日本の英語教育での利用を目的に構築された新しい英語能力の到達度指標で、実践的な能力を示すものになっています。
 英語の実用的な運用能力を測る国際基準CEFRをもとに、作成されています。
CEFRはヨーロッパで作られた「外国語の学習者の習得状況を示すガイドライン」で、読む、聞く、話す、書くという4技能をそれぞれ6段階で評価し、次の段階に進むために何が必要か、といったことが明示されている。
 TOEICで800~900点と高得点を取っていても、最初のレベルチェックテストを受けてみたら全然話せずレベルもそこそこ…という人もかなり多いんです。テストは無料で受けられますから、ぜひ多くの人に受験してもらいたいですね。

会話中の発音や文法もAIが蓄積・指摘

──AIによる音声認識は、英語学習にどのように貢献するのでしょう。
 スピークバディは、「英語を聞き取る技術」と「それを指摘する機能」の両方を実装しています。
 これが発音と文法の学習に大きく関わってくるんです。
 まず、ユーザーの発した英語をしっかり聞き取り、言いたかったことを理解したうえで、正しい発音・文法を提示します。
 この認識機能は自社で開発しているため日本人特有の英語発音にも対応しており、欧米で開発された技術と比べ、格段にスムーズにユーザーの発話を認識できるようになっています。
 具体的には、AIが「今あなたが発した内容はこう聞こえました」と文字にして画面上に表示するのですが、その際に誤った箇所には指摘が入ります。
 例えば「いまreportと言うところだったがairportという発音に聞こえた」「今の文章ではaではなくtheを使うべきだった」「Heに続いて、walksと言うべきところwalkと言ってしまった」などですね。
 こうした細かなミスは、講師が人間だとなかなか指摘してくれません。
 指摘をするとレッスンの流れを止めてしまうし、指摘される側も「細かい指摘だな」とモチベーションが下がってしまいます。
 講師を前に同じ発音を何十回も繰り返すのは苦痛ですよね。
 その点、AIが相手なら、間違えても恥ずかしくないし、どんな細かなミスも漏らすことなく淡々と指摘してくれるので“心理の壁”を意識せずに何度でも練習できます。
 何度でも同じことを徹底して反復して、どれだけ時間を使っても気にしなくて大丈夫です。
 話すことに抵抗がなくなれば、アウトプットの量も自然に増えます。それが英会話力にもつながります。
 また、レッスン中のユーザーの発音から苦手な発音のリストを作って貯めています。
 それをもとにした発音トレーニングでは「Native-like」「Very Good」「Good」「Not Clear」などと判定され、苦手な発音や単語に絞って復習を続けられるようになっています。
学習者の発音の誤りを、AIが発音記号で指摘してくれる。
 社内には海外のトップクラスの大学院でGPA満点で修士をとったような優秀なAIエンジニアがおり、日本人の話す英語についてはGAFAの音声認識より精度が高いレベルまでに仕上げたり、フリートーク機能についての強化・研究開発を続けたりしています。
 AIの精度は年々上がっていて、聞き取りだけでなく、ユーザーの話す内容に応じて会話を展開するフリートークもできるようになっています。
 AIによる語学学習は、まだまだ伸びしろがあり、AIによるフィードバックが人間を超える日も近いと感じています。

時間がない人こそ、AI英会話が最短

──スピークバディを上手に使うコツを教えてください。
 長期視点の学習に使われる方ももちろん多いのですが、直近の目標に向けて短期集中で一気に学習するという人も多い。
 出張や駐在を予定しているビジネスパーソンだけでなく、大学教授から、「学会でのプレゼンに向けてスピークバディで学び、すごく自信がつきました」というメッセージをいただいたこともあります。
 最近ですと、新社会人の方から「就職活動に向けてスピークバディを使い、第一志望の外資系企業から内定をもらいました。外資を受ける人で使っている仲間が増えています!」と嬉しい連絡をいただきました。
 これまでに行った調査*だと「スピークバディ」を3カ月間利用したユーザーは、弊社独自のランクで「平均1.2ランクアップ」することが実績として確認できています。(*3ヶ月間で100レッスン学習したユーザーの実績)
 短期間に一気にレッスンを詰め込めるのも、アプリならではの特徴だと思います。
 時間のないビジネスパーソンは隙間時間に、また転職活動中などで時間がある場合は1日何時間でもと柔軟な使い方ができます。
──一度は挫折した英会話にリトライしたい方に、伝えたいことはありますか?
 これまで皆さんの挫折の原因となってきた“心理”“効率”“場所”“費用”の4つの壁をAIが取り払ってくれるので、今度こそ大丈夫だと自信を持って学んでほしいですね。
 単語や文法の知識を重ねてきた日本人は、正しい方法でスピーキングに取り組むと「インプット」と「アウトプット」が結びついて、ぐっと伸びやすいんです。
 知っている英語が使える英語に転換していく面白さを感じながら、ぜひリベンジに使ってもらえたら嬉しいですね。