2023/1/13

【解説】日本の「3つのドラマ」が海外でバズる背景

フリーランス ジャーナリスト
この記事は、日本にいると逆に見えてこない、日本のポップカルチャーの世界でのポテンシャルをお伝えする連載「Japan Rising」の最新回です。
INDEX
  • ①突如、世界中でベスト10入り
  • ②存在感ゼロだった日本のドラマ
  • ③「もう一つ」の作品がアジアで爆発
  • ④なぜ、いきなりヒットしたのか
  • ⑤いきなり現れた「第3の道」

①突如、世界中でベスト10入り

2023年初頭、世界のNetflixで最も視聴された番組リストのトップに、ちょっと意外な作品がランクインした。
話題をさらった『カレイドスコープ』やティーンドラマ『ウェンズデー』などの英語コンテンツがひしめく中で、『今際の国のアリス(英題:Alice In Borderland)』のシーズン2が、同プラットフォームのグローバル非英語ランキングで1位を獲得したのである。
この日本発のSFスリラーは、廃墟と化した東京で危険なゲームを強いられる主人公たちのグループにフォーカスし、そのセットの間に多くの陰謀とドラマを盛り込んでいる。
このNetflix独占シリーズのシーズン1は2020年12月に初公開されると、大きな賞賛を受け、世界中で強力なファン層を生み出した。
翌年には、韓国発のNetflixオリジナル作品『イカゲーム』が世界的に爆発的なヒットとなると、同じサバイバルゲームのジャンルにある『今際の国のアリス』も大きな注目を集めた。だが、それでも、イカゲームが各国のランキングでトップを獲ったのに対し、『アリス』は常にその数段下に甘んじていた。
だが今回、このシーズン2は、各国のNetflixランキングでトップ10入りを果たした。これは、ストリーミング時代の日本発の作品ではほぼ例がない快挙だ(さらにNetflix史上最も見られた日本作品との情報まで)。
しかし、これは偶然の産物ではない。
つまり、『今際の国のアリス』の成功は、日本のテレビ番組が世界で勝っていくなかでの「例外」ではないのだ。むしろ、2023年の始まりと共に、日本のテレビコンテンツが世界の視聴者とつながる道筋が少しずつ見え始めている。

②存在感ゼロだった日本のドラマ

本題に入る前に、まず日本の映像コンテンツの世界的な立ち位置を見ていく。
まず、そもそも長年にわたり、日本の実写ドラマやテレビ番組は国内だけに向けて制作されていた。