[ブリュッセル 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は19日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「フェイスブック」を展開する米メタ・プラットフォームズに対して独占禁止法に違反していると警告したことを明らかにした。オンラインのクラシファイド広告(個人間の物品売買などの短い広告)市場で競争をゆがめ、支配的地位を不当に利用しているとした。

欧州委は予備的見解の中で調査をさらに進め、EUの規則に違反する十分な証拠があれば、メタの世界での年間売上高の10%を上限とする罰金を科す可能性もあると説明した。

欧州委のベステアー副委員長(競争政策担当)は声明で、メタがフェイスブックとクラシファイド広告事業「フェイスブック・マーケットプレイス」をひも付けていることに懸念を表明。「フェイスブックの利用者はフェイスブック・マーケットプレイスにアクセスする以外の選択肢がないことを意味する」と指摘した。

メタの広報担当者ティム・ラム氏は「欧州委の主張には根拠がない」と反論し、「引き続き規制当局と協力し、われわれの製品革新が消費者本位で、競争促進的であることを示す」と述べた。

欧州委は広告サービスのひも付け以外に、メタが支配的地位を悪用し、フェイスブックや写真共有アプリ「インスタグラム」に広告を出稿する競合クラシファイド広告業者に不利な取引条件を課していると指摘。

この取引条件によってメタは競合社経由で入手した広告関連データをフェイスブック・マーケットプレイスを益する形で活用できるようになっているとし、メタのプラットフォーム上のオンラインディスプレイ広告サービスの提供において正当性も必要性もない条件だと断じた。

フェイスブック・マーケットプレイスは2016年にサービスが始まり、70カ国で物品売買に使われている。

この件に詳しい複数の関係者はロイターに対して先月、メタによる顧客データの使用、およびクラシファイド広告サービスとSNSの抱き合わせを巡り、欧州委がメタに対する告発を準備していると語っていた。

欧州委はこれとは別に、グーグルとメタがオンラインディスプレイ広告サービスについて合意した取り決めについて、EU競争法違反の疑いで3月に始めた調査を終了したと発表した。疑念が晴れたためとしている。