(ブルームバーグ): 米投資ファンドのブラックストーン・グループが、出資先で解熱鎮痛剤「カロナール」などを主力とするあゆみ製薬について、新規株式公開(IPO)や会社売却を含む選択肢について検討を始めたことが15日、分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

情報が公になっていないことを理由に同関係者が匿名を条件に語ったところによれば、ブラックストーンはこうした選択肢について、複数の財務アドバイザー候補と協議を行っており、あゆみ製薬の価値を少なくとも約10億ドル(約1360億円)と評価する取引となる可能性がある。既に同業他社や投資ファンドから関心が寄せられているという。

検討は初期段階にあり、ブラックストーンが株式を持ち続けることを決める可能性もある。ブラックストーンの担当者はコメントを控えた。あゆみ製薬の担当者はコメントを控えた。

あゆみ製薬は、リウマチ・整形外科領域に注力している。2015年に参天製薬の抗リウマチ薬事業と昭和薬品化工の医科事業を引き継ぐことで誕生した。ブラックストーンは19年に日本の投資会社ユニゾン・キャピタルなどからあゆみ製薬の株式を取得。関係者の1人によると、金額は約1000億円だった。ブラックストーンが日本企業の支配権取得のためプライベートエクイティー(PE、未公開株)の取引を行ったのは初めてだった。

主力品「カロナール」はコロナ禍で需要が急増。新型コロナワクチン接種後の発熱の際に使われているためで、7月には需要が供給を大きく上回り、得意先を優先する出荷調整に追い込まれた。「コロナ特需」は中期的な企業価値の算定を難しくするが、カロナールの名前が一般にも広く浸透したことを評価する買い手が現れる可能性もある。

東邦ホールディングス(HD)は今年3月、あゆみ製薬の親会社AYMHDの株式20%を取得したと発表した。金額は公表していない。

--取材協力:古川有希.

(第5段落など詳細を追加して更新します)

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