武田、米スタートアップを5500億円で買収 皮膚病薬候補開発
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リスク回避性向が高すぎる日本企業にあって、武田はシャイアーを6兆円超で買収するなど果敢に「攻め」ています。
その結果、売上も利益も順調に上昇傾向にありますし、心配されたシャイアー買収で背負った巨額の借入金も既に1兆円以上を返済しています。きちんと結果で示している姿は立派ですし、今回のような買収も個人的に好感が持てます。
一方、武田の課題はとにかくROEが低すぎる問題。2022年3月期のROEはわずか4.2%。伊藤レポートで「日本企業は最低でもROE8%を目指すべき」として5年ほどROE祭りを国内で展開、日本企業全体ではクリアしたものの、武田は苦しんでいます。
中外製薬のROEは日本企業ではトップクラスの28.0%。こうしたことを受け、PBRは中外の4.6倍に対して武田は0.9倍。武田の重たい資産がリターンを生んでいないことを如実に示しています。資金6.2兆円と言われたシャイアー買収のため、大きな負債を抱えたため株価は下がりましたが、市場の予想に反して業績は下がらず、株価は戻してきましたね。ちなみに実は配当金もそこそこよいのです。
https://irbank.net/E00919/dividend
日本の製薬企業は、世界で見れば最高でも売上高で20位前後をうろついていましたが、武田は売上も伸び、10位以内には入っていないものの、欧米のビッグファーマに肩を並べるところまで来ました。利益もシャイアー買収前よりも伸びています。
シャイアー買収のための多額の負債を返しつつあるため、そこそこ大型の買収に踏み切ったということでしょうか。製薬業界において優位に立つには、新薬候補を多く持つことが重要だと思います。
新薬開発は時間とお金両面で非常にコストがかかるため、M&Aで「時間をお金で買う」ことのメリットが特に多くあらわれる業界なのではないでしょうか。