【解説】IPOで理解すべき「3つの値段」
コメント
注目のコメント
記事に書かれていないこととして2点ほどコメントします。
1. IPO価格を決める際、IPOディスカウントというものがが考慮されています。どういうことかというと、本来であれば〇円と思われる株価に対して、10~30%のディスカウントをしてIPO価格を決めています。これは、トラックレコードのない企業の株を投資家がリスクを取って購入するインセンティブ的なものです。賛否両論がある話ではありますが、フェアバリューで売ってもIPOで株を買う妙味がないので、プラクティスとして定着しているものになります。なので、理論的には初値はIPO価格から上がるはずで、この鞘を目論んで個人投資家はIPO株を買おうとするわけです。ただ、記事にあるように、ベースフードでは初値がIPO価格割れを起こしました。必ずしも理論通りに株価がつかないことを理解して投資判断することが重要です
2. 記事でも書いてあるように、「ベースフード株を山崎製パン株や寿スピリッツ株と比較する場合、株価そのものとにらめっこしても仕方がない」。今はそうです。ただ、未だに株価を比較する年配の方がおられますが、それは、以前は株価を比較することに意味があった時代があったからです。2001年10月の商法改正で廃止されるまで、株式にも額面というものがありました。通常、50円だったと理解しています。額面が50円の場合、会社を設立して株式を発行した時、投資家が1株あたり50円を支払って株式を購入していましたので、株価のスタートが50円だったということです。なので、その後の株価を比較することに意味がありました。2001年の商法改正で、額面株式が廃止されすべて「無額面株式」に統一され、今は別の貴社との株価の絶対値を比較することに意味はなく、時価総額で比較することが必要になりました。株主でもあるBASEFOODを題材にして貰いありがとうございます。どこに何がどう言う順番で開示されるのか、一度開示資料を読んでスタートアップ経営やファイナンスにが変わろうとする人には役立つと思います。基本フォーマットが決まっているので慣れればすぐ必要な情報が見つかります。大量の上場企業がいる中、フォーマットが一定決められているメリットはこの検索性です。
ちなみに想定価格→仮条件→発行価格という価格決定プロセス自体にメスが入ります。それがコロナ以降議論が続き、今年レポートとしてでたJSDAの報告書に纏まっています。私も委員を務めて議論をサポートしました。想定価格はなくなり、条件決定がより柔軟になります。
https://www.jsda.or.jp/about/kaigi/jisyukisei/gaiyou_koukaikakaku_houkokusho.pdf
最後に一般論として、株価評価については今のスタートアップIPOは常に一定のチャレンジを有しています。まだまだ成長の入り口に入ったばかりでポテンシャルが開花し切れてないこと、新規性が高く比較対象を見つけるのが難しいことです。実績を示しつつ、自らのポテンシャルをどの成長曲線、どの時間軸で評価して貰えるかは一朝一夕では解決できません。それでもまだまだやるべきことをやり切れていない会社が殆どであることも実態です。
未上場市場に加えて、IPO改革、ポストIPO市場の改革はまだ始まったばかりです。今後も微力ながらお力になれればと思います。すごく複雑なことをかなりシンプルにわかりやすく書いています。ここまで噛み砕くのは相当難しかったのでは?
有価証券報告書は素人を排除するためにわざと重要なことを小さく書いているのでは?と毎回読んでいてイラッとします。読めるようになると優越感すら出てきます笑
株価や時価総額、そして成長戦略というのはストーリーテリングそのものだと思います。人は新しすぎる物語を理解することはできないので、必ず何かとの比較が必要になります。サラダより安くて、箸もフォークもいらない。素晴らしいストーリーです。パンと比べる必要は全くないし、実際に消費者はパンと比較していないですよね。配合されている成分が似ているだけです。
"同じような栄養素をコンビニ食で取るならサンドイッチやサラダなど650円相当が必要とのことで、400円弱は高いわけではないそうだ"