(ブルームバーグ): 投資家はクリスマス以降、「トップランク」のESG(環境・社会・企業統治)ファンドを見つけるのに苦労するだろう。規制強化を受け、運用会社が欧州の最も厳しいサステナビリティー基準にファンドを分類することに尻込みしているためだ。ジェフリーズ・インターナショナルのアナリストが見解を示した。

ブラックロックやパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、アムンディなどが、欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)で最も厳格なESGファンドである「9条」の指定を多数解除していることをすでに明らかにしている。ブルームバーグの集計では、少なくとも1000億ドル(約13兆7000億円)に相当するファンドが格下げされていることも示されている。実際の数字は、ずっと大きい可能性がある。

この流れが続くことで、新たに立ち上げられる9条ファンドの本数は新年に「ほぼゼロに近くなるだろう」と、ジェフリーズの欧州ESGサステナブルファイナンス責任者、ルーク・スサムス氏が5日、ブルームバーグに語った。

ジェフリーズの顧客向け文書によると、EUの資産運用業界におけるプロダクト再分類のうち、9条ファンドの格下げが87%を占めるという(11月22日時点の目論見書の変更に基づく)。モーニングスターは9月半ば、9条ファンドの運用規模が約4700億ドルに上ると推計していた。

EUは既存の規則を明確にし、9条ファンドについて、ヘッジや流動性関連の対応を除き100%サステナブル投資でなければならないと説明した。これを受け、ファンドマネジャーはこうした規制指針を非難している。

SFDRが批判の高まりに直面

一方、投資家はより多くの答えを求めている。約400万の金融サービスのユーザーを代表する「ベター・ファイナンス」は、欧州委員会や欧州証券市場監督機構(ESMA)に対して、顧客資金がグリーンウォッシングにさらされていないことを保証するよう求めた。

欧州の規制環境は来年、運用会社にとって対応するのがさらに難しくなりそうだ。1月以降、運用業界は提供するESGプロダクトに関して、以前よりも多くの情報開示が求められる。

欧州は2021年3月、ESG規則の草分けであるSFDRを施行した。グローバル標準を目指し、SFDRは世界で最も野心的な「グリーン」の目標を打ち立て、運用業界を変えた。しかし、非常に複雑で必ずしも一貫性があるわけではないとして、投資家と規制当局双方からの批判の高まりにも直面している。

欧州委員会は、多くの問題が持ち上がっていることは認識しており、調査しているとした。

原題:Asset Managers Seen Axing Almost All Sales of Top ESG Funds (1)(抜粋)

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