2022/12/8

【大人気】斬新すぎる「ボディソープ」から、未来が見えた

こんなやり方があったか!と思わず、叫んでしまった。
10月、私は、ニューヨークはマンハッタンへと急いでいた。NYで最大のアクセラレータとして知られる「ERA」を訪れるためだ。
創業者は、日本語もしゃべれるムラットさん。「イチオシ」のスタートアップとして、サステナブルなデオドラント(制汗剤)やボディソープで人気のMyroを紹介してくれたのだけど……。
そのアプローチが斬新すぎた(👇私の動画)。
シャンプーやボディソープの「詰め替え」は日本でも普及しているけれど、普通は、最初に買った容器に中身を入れ替えるだけだ。だけど、Myroでは、チューブ型の「原液」を売って、それを容器で水に薄めてボディソープを作る
もちろん、サステナブルをうたっているので、中身は植物由来。
しかも、詰め替えがめちゃめちゃコンパクトになったことで、輸送・サプライチェーンの面で、効率化が図れて、小売店に大人気なのだとか。「サステナブルだけ」に満足しない、仕掛けづくりをちゃんとしてるのだ。
なんで、こんなアイデアを思いつくのだろう──。
創業者のグレッグさんに話を聞くと、その出自から、ゼロから「モノ」を作る奮闘に、超セレブの投資家、100万個売ったマーケティング、日本進出を含めた野望まで面白すぎて、30分の予定が気づいたら1時間以上になっていた。
INDEX
  • ①「退屈な商品」にチャンスがある
  • ②「D2C」を過信するな
  • ③サステナだけでは絶対売れません
  • ④SEOはダメ。セレブ投資の理由
  • ⑤自社TikTokも意味がない
  • ⑥失敗85回。輸送面で革命が
  • ⑦日本進出へ、準備進める

①「退屈な商品」にチャンスがある

──そもそも、なんで起業したのですか。
これを話し出すと、止まらなくなるのですが(笑)。まず、私はシベリアで生まれ育ちました。
──シベリアって、あの日本にも近い。
そうです。あのロシアの北東部です。だからニューヨークの寒さは好きです。
それはさておき(笑)、10代でアメリカにやってきて、大学卒業後は、いくつかの企業でマーケティングを担当してきました。
ワインや金融、デリバリーなどいくつかの企業を経験したのですが、常に「その商品を何も知らないマスの消費者に、価値を届けるか」に集中してきました。
直近では、食材デリバリーのPlatedという会社にいたのですが、ここでもマーケを担当して最終的に大手の食料品チェーンに数億ドルで売却することができました。
そして、次のジャーニーについて考えました。
すぐに思いついたのが、自分が個人としてハマっていた廃棄物削減のライフスタイルと、自分がプロとして取り組んできたプロダクトマーケティングを組み合わせることでした。
「毎日使うバス用品をゴミを減らすようにデザインし直せば、社会全体にとって素晴らしいことになるのではないか」と。
それが2017年のことでした。
──ビジネスだけじゃなく、自分のライフスタイルが元になっているのですね。
そうです。
家で過ごすときにいつも気にかけていますから。例えば、Platedのときも、簡単に料理ができることに加え、必要な分量だけを届けることで廃棄物を減らせる、という大きな付加価値を訴求していました。
そういう個人的な気付きがあったので、ボディケアに進むことにしたわけです。私にとっては、ごく自然な成り行きでした。
むしろ、なぜ、まだないんだろう、という感じで。
──2019年、最初にデオドラントを投入しましたね。なぜですか。
正直、最も退屈な商品だからです。