[ワシントン 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が23日に公表した11月1─2日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、政策立案者の「かなり多数」が、利上げペース鈍化が「間もなく適切になる」との見方に同意したことが分かった。

議事録では、急速な金融引き締めの効果が浸透するにつれ、前倒しでの利上げをやめてより小さく慎重な利上げに遷移できるとし、当局者がこれまでの経過におおむね満足していることが示された。

FRBは同FOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%ポイント引き上げ、3.75─4.00%とした。その上で、これまでに実施した「金融引き締めの累積効果」を考慮し、今後の利上げ幅がより小規模なものになる可能性を示唆した。

「利上げのペースを遅くする方が、FOMCが最大雇用と物価安定という目標に向けた進捗を評価するのに適している」とし、金融政策が経済活動やインフレに与える影響の遅れや大きさが不確実な点を要因に挙げた。

FRB当局者はまた、金融政策スタンスが「十分に制約的」になりつつある中、「最終的にFF金利をどの水準まで引き上げるかやその後の政策姿勢の展開の方が、利上げペースよりも重要な検討事項になった」と強調した。

金利の最終到達点は今後のインフレの推移や、最近の予想以上のインフレ鈍化が定着するかに大きく左右される。

議事要旨を受けて株価は上昇し、米国債利回りは低下。ウェドブッシュ証券の株式担当マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「単に利上げペースを今後鈍化させるという内容だったが、多くの人々がまさに望んでいたことが確認できた」と指摘した。

<リスク巡る議論が台頭>

議事要旨ではまた、インフレに関して明らかな進展がほとんどなく、金利をさらに引き上げる必要があると政策立案者が認めている中でも、急速な金融引き締めが経済成長と金融安定にもたらすリスクに対してFRB内で論議を呼んでいることが示された。

「数人の参加者」は利上げペースを緩やかにすれば、金融システムに対するリスクを軽減できるとした。一方、「他の数人の参加者」は金融引き締めペースの鈍化は「物価上昇圧力が著しく弱まっているとのより具体的な兆候」を待つべきだと指摘した。

「多くの参加者は、FOMCの目標を達成するために必要なFF金利の最終水準について著しい不確実性がある」との認識を示した。

オールスプリング・グローバル・インベストメントの投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「さまざまな参加者」が金利の最終到達点の見通しを引き上げる必要性を認めた一方で、「一部の」参加者が利上げを押し進めれば金融安定リスクを高めるとの見方を示したことに触れ、今後の政策の道筋は両者の綱引きになると予想した。

12月のFOMCでは会合後に声明に加え、経済・金利見通し(SEP)も発表する。