「糖尿病」の名称変更へ ~患者の9割が不快感—糖尿病協会~
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「糖尿病」という言葉自体は、ラテン語に由来した英語病名”Diabetes Mellitus”の翻訳からきている言葉ですので、国際的に使用されている言葉相当ということにはなると思います。
しかし、そのような病名でも、変更が妥当化される場合もあります。診断名の修正が求められる理由は主に、(1)病態の解明が進み、現在の診断名が不適切と考えられた、(2)その言葉が時代の変遷とともに、偏見や差別につながると判断された、などのケースが考えられると思います。
今回の「糖尿病」のケースは(2)に該当する見込みからの議論と思われますが、過去には同様の理由で「精神分裂病」→「統合失調症」、また少し質が異なるかもしれませんが、「痴呆症」→「認知症」などの例もありますので、歴史的には特異なケースというわけではないと思います。
ただし、記事に関しては少し腑に落ちない点もあります。この記事では根拠として、アンケート調査の結果が引用され、「回答者1087人の9割が病名に何らかの抵抗感・不快感を持ち、変更を希望する人が8割に上った。」とありますが、それでは十分な根拠にはならないと思います。なぜなら、そのような人が偏って回答している可能性が除外できないからです。また、そもそも抵抗のない病名、快適な病名などほとんど存在しないからです。
本来、病名がどのように偏見や差別につながっているかのデータこそがよりフェアな形で示される必要があると思います。
変更の議論とともに、病気ではなく、病名からの偏見や差別がどの程度存在する可能性があるのか、名称変更により改善されるかという視点が重要と思われます。患者満足度への対応で済ませてしまうと、目的を見誤り、改悪につながる恐れもあります。糖尿病は1型と2型糖尿病があり、それらは遺伝的な要因や生活習慣が原因となっています。
生命保険や住宅ローンに加入できないといった背景には、他の生活習慣病にも罹患する可能性が高いと捉えられやすいからなのではないかと思います。
「糖尿病」という名前を変えるだけではそのイメージは変わらないのでいかに、病を知ってもらうかが重要だと思います。
一方で糖尿病患者さんが「糖が尿に出る病」というネーミングに抵抗があるのもわかります。その罹患している人たちの抵抗感が軽減できるという点では、名称変更は効果的かなと感じました。糖尿病はとかく、全ては「不摂生の病」というイメージを抱く方が多いですが、先天性や妊娠など別の原因による後天性の場合もあります。
ここでも準教授が「糖管理不全」という不摂生イメージ優先の名称を提案したり、NASAの方がケーキをどか食いするようなものという失敗事例を糖尿病に引用したりと無知・無理解によるイメージに引っ張られる方が多い現状があります。
これを払拭できる内容を盛り込んだ名称変更であればやるべきと思います。