30年後に備える資産運用

日本株、外国株、外貨預金…etc

資産1000万円以上の20代は、分散投資が得意

2015/1/8
FXへの嗜好は20代の特徴ですが、金融資産を1000万円以上持つ成功者の秘訣ではなさそうです。保有している金融商品は多岐にわたり、分散投資を実行していることが窺えます。
20代で金融資産1000万円以上ある人の、4つ目の特徴は投資に関することです。まずは、投資をしている人の比率をみてください。44.5%が投資をしており、20代の平均17.9%を大幅に上回っています。もちろん特別な投資をしているわけではなく、どちらかと言えば「しっかりした考え方を持って投資を行っている」ことが窺われます。

投資に対しポジティブなイメージを持つ

まずは「退職後の資産準備に重要と思われる方法」として資産運用を挙げた比率は、20代全体で16.0%ですが、1000万円以上の金融資産を保有する20代では26.2%と10ポイント強高くなっています。これは、長期の視点で資産運用、すなわち資産形成が必要だという認識を持っている人が多いことを示唆しています。

その結果、「退職後の資産形成として実行している策」で資産運用を挙げている比率は17.2%と20代平均よりも10ポイント以上高くなっています。もちろん、余裕資金ができた時の使い道として「将来のための投資」を挙げているのも17.8%と20代平均10.2%より高くなっています。

また投資そのものに対するポジティブなイメージも高いのが特徴です。投資という言葉に対するイメージを8つの言葉「明るい」「前向き」「儲け」「楽しい」「リスク」「損失」「ギャンブル」「怖い」の中から選んでもらい、前者4つの比率をポジティブなイメージとして集計した結果、20代平均が25.9%だったのに対して、1000万円以上の金融資産を持つ20代では41.1%にまで高まっていました。

平均との差異もそうですが、絶対水準として4割強が「投資に対してポジティブなイメージを持っている」というのは、大変大きな特徴ではないかと思います。資産があるから投資を前向きにとらえるのか、投資を前向きにとらえているから資産が多くなっているのかは、このデータ分析だけでは判別できません。

しかし、どちらかが原因で、どちらかが結果という単純なものではなく、互いにスパイラルに影響し合っているだろうということは容易に想像がつきます。

20代の19.9%がFXに投資

 15_20代の投資性向

半分近い人が投資をしているのですが、次にその投資の特徴を見ていくことにしましょう。

20-30代の投資の特徴は外国為替証拠金取引(FX)への嗜好が色濃く出ていることでした。20代平均では19.9%がFXへの投資をしていると回答しており、日本株に次ぐ高い比率です。この比率は、1000万円以上の金融資産を持っている20代でも変わりません。2割が投資対象に選んでいるのです。

しかし、興味深い点はそれ以外の金融資産はすべて1000万円以上の金融資産を持つ20代の方が比率が高いことです。日本株では12.5ポイント、外貨預金は10.1ポイント、日本債券も11.5ポイント、それぞれ上回った数値となっています。

こうしたデータが示していることは、FXへの嗜好は保有資産の規模に関係はないものの、資産1000万円以上の20代は他の投資対象にも資産を振り向けているということです。

「金融資産が増えるにしたがって他の金融資産を持つようになった」のか「他の金融資産に資産を分散させるようになって金融資産が増えるようになった」のか、それはここからだけではわかりません。しかし、1000万円以上の金融資産を持つ20代は、資産運用においてかなりの資産分散を進めていることは確かです。

過去5回にわたって、20代で金融資産1000万円以上を保有する人たちの特徴をまとめてきました。公的年金への理解、老後へのしっかりとした見方、確定拠出年金への理解、お金の情報の入手経路、投資への前向きな姿勢など、それぞれの特徴は、明らかに「それを原因の一つとして資産を積み上げている」と思われるものもあれば、「どちらが鶏でどちらが卵か」の判別をつけにくい特徴もありました。しかし、少なくともこうした特徴が若いながらも資産を持つ人たちに多くあることは注目すべきことです。

※本連載は毎週木曜日に掲載します。