(ブルームバーグ): 英年金基金の債務主導投資(LDI)に関連したデリバティブ評価損は、最大で1500億ポンド(約25兆円)に上る可能性があると、JPモルガン・チェースのアナリストらが試算した。英年金基金はマージンコールに対応するため資産売却を進めており、各市場に影響が広がっている。

ニコラオス・パニギリツオグル氏らJPモルガンのアナリストは13日付のリポートで、LDI関連の評価損は8月初め以降の累計で1250億-1500億ポンドに及ぶ可能性があるとの見方を示した。この試算は、英年金保護基金(PPF)による年金基金の持ち高に関するデータを基にしたという。

これによると年金基金の負債価値はこの額よりも大きく減少し、全体的な健全性を巡る懸念を和らげた可能性が高い。だがLDIの一部としてデリバティブを活用している年金基金は、市場の動きをカバーするため担保を提供しなければならず、英国債相場が急変動すれば影響を受けやすい。

英政府が先月、財源の裏付けのない大型減税案を発表したのをきっかけに相場は急落。年金基金は債券売却を加速せざるを得なくなり、それが価格をさらに押し下げ、マージンコールの増加を招いていた。イングランド銀行(英中央銀行)はこの流れを断ち切るための介入を余儀なくされ、一時的な支援措置を打ち出した。

 

原題:LDI Derivative Losses May Be £150 Billion, JPMorgan Analysts Say(抜粋)

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