2015年予測_デザイン_b

2015年の予測~デザイン編~

進化するインフォグラフィック、3つの予測

2015/1/1
日本でもオンラインでのインフォグラフィック活用が徐々に広がってきた。さらに利用拡大が進むと考えられる2015年。インフォグラフィックはどのように進化していくのか。

インフォグラフィック・エディターとして

最初に少し自分のことを話します。僕は昨年12月8日からNewsPicks編集部に「インフォグラフィック・エディター」という肩書きで加入しました。この多くの人にとって「?」な職種で何をしていくかと言うと、ビジュアルを使って、情報をわかりやすく、魅力的に伝えることに取り組んでいきます。たとえば、加入前に編集部と一緒に制作したコンテンツに、「ネット四天王」シリーズがあります。
第1回:Google買収戦略 20の事実
第2回:Facebook買収戦略 20の事実
第3回:Amazon買収戦略 20の事実

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Google買収戦略 20の事実

インフォグラフィックとは?

インフォグラフィックは「インフォメーション・グラフィック」と同義で、文字通り、情報をグラフィックで伝えるものです。したがって、その範囲は広く、地図や図解、アイコン、ピクトグラム、グラフィックを効果的に使ったプレゼンテーションなど、情報を伝えるのに用いられる幅広いビジュアル表現を含みます。

その中でも近年、オンラインのコンテンツで活用が広がっているのが、情報を一枚絵でまとめたタイプです。

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「たった一枚でわかる」という閲覧者にとってのお得感に加え、一枚の画像になっていれば、そのままソーシャルメディアでシェアされたり、他メディアに転載される可能性が高まることから、マーケティングのツールとして一枚絵タイプは注目を浴びています。

そのため、「インフォグラフィック」と言った場合に、こうした一枚絵タイプを思い浮かべる人も多いかと思いますが、僕は「情報をわかりやすく、魅力的に伝えるためのビジュアル表現」はすべて「インフォグラフィック」と呼んでいいと考えています(似たもので区別する必要があるとすれば、データ・ビジュアライゼーションですが、この記事ではそこには踏み込みません)。

この定義を前提に、2015年にインフォグラフィックはどう進化していくかを予測します。

予測(1)利用目的の高度化

さきほど挙げた一枚絵タイプのインフォグラフィックの活用を目にする機会が増えたのがここ数年の話です。その多くは、単発的で話題性(バズり)への期待が強く、長期的な取り組みにはなっていません。

バズにつながるインパクトは、インフォグラフィックの価値の一つに違いありませんが、それよりも大事なのは「わかりやすく情報を伝え、理解を促すこと」です。

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ページビュー至上主義下においては、メディアはどうしてもインパクトを求めがちですが、それだけでは、過激なタイトルを記事につけるのとたいして変わりません。

インフォグラフィックの真価は、一回一回のインパクトを見るよりも長期的なブランディングへの貢献度を測るべきです。ビジュアルを使って、わかりやすく、魅力的な情報を伝え続けることは、ブランド形成につながります。

なぜなら、これだけ日々接する情報の量が増え、その上、複雑な情報が多くなってくると、わかりやすく情報を伝えられる存在に価値(信用)が生まれるからです。たとえば、アニュアルレポートにインフォグラフィックの表現を取り入れる企業も出始めており、2015年は単発の一枚絵インフォグラフィックと違った、長期的なブランド形成を念頭にしたインフォグラフィック活用が進むと予測します。

予測(2)作り手の専門職化

長期的にインフォグラフィック活用に取り組むには、作り手の確保が不可欠です。インフォグラフィックは、デザインスキルだけでは作れません。データや情報を分析するスキル、その分析をもとにストーリーを編む編集スキルも要求されます。

インフォグラフィック活用を継続的に行うには、アナリスト、エディター、デザイナーの三者からなる専門チームを作るか、複合的なスキルをもった専門家を用意するかが必要です。

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今ほどインフォグラフィックが求められる時代はなかったので、そこまで専門的にこの分野を突き詰めている人がいないのが現状です。ですが、「データ・サイエンティスト」「グロース・ハッカー」など新たな職種が生まれるのと同じように、インフォグラフィックに関しても僕がそうしてもらったように専門職を設けていくのが良いでしょう。

というのも、予測(3)に関係する話ですが、テクノロジーの進化にあわせて、インフォグラフィックの形態も進化していかなければならず、常に新しいことへの挑戦が続くからです。

はじめは専門職というほどのスキルがなくても、一つのことに集中して頭を働かせて、手を動かしていくうちに、おのずと身につくものです(インフォグラフィックへの強い好奇心と愛着を持てることが前提ですが)。需要があるのに、作り手がいないというまたとない機会に、インフォグラフィックの専門家を目指す人が増えることを期待しています。

予測(3)形態の進化

インフォグラフィックは、今、改めて注目されているだけで、新聞や雑誌のような紙媒体をはじめ、街中(例えば地図や地下鉄路線図)で広く使われてきた表現でした。

それが2010年代に、ソーシャルメディアの台頭に合わせて、オンラインで画像(直感性)が威力を発揮し始めた時にウェブ用に最適化され、今のスタイルが確立されました。しかしそれはウェブ・メディアや個人ブログの記事幅に最適化されたもので、モバイルで閲覧するには表現が細かすぎるものが多いです。

新聞・雑誌からPC、それがモバイルへとメインとなる閲覧環境が移行していくに連れ(その先にウェアラブル)、インフォグラフィックもその形態(見え方)を進化させる必要があります。

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文字やグラフィック・パーツのサイズ、見せ方のテンポなど工夫するには、プレゼンテーション・スライドやアニメーション、動的な表現など、既存の枠にとらわれずに様々な表現を取り入れるとうまくいくと考えています。

これについては、今後、NewsPicksのコンテンツを作る中で挑戦していきますので、お楽しみに。僕の2015年予測は以上になりますが、今後の参考までに、インフォグラフィックに関連する話で取り上げて欲しいトピックがあれば、コメント欄にお願いします。