(ブルームバーグ): 米アップルは、期待していたほど需要が伸びないことを理由に、スマートフォン最新機種「iPhone14」の増産計画を断念する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

計画が公になっていないことを理由に関係者が匿名を条件に語ったところによると、同社は当初、9月発売のiPhone14シリーズについて、下期に最大600万台の増産を計画していた。しかし、出だしの販売が低調なことから、9000万台という下期計画を維持せざるを得なくなったという。

中国は世界最大のスマホ市場だが、景気の減速に伴って国内メーカーの販売は振るわず、iPhoneも同様に影響を受けている。26日付のジェフリーズ証券のメモによれば、iPhone14シリーズの発売後3日間の中国国内での購入台数は、昨年9月に発売されたiPhone13の時に比べて11%減少した。

アップルの広報担当者はコメントを控えた。

インフレ高進や景気後退への懸念、ロシアによるウクライナ侵攻によって、個人向け電子機器の需要は世界的に影響を受けている。調査会社IDCのデータによると、今年の世界のスマホ市場は前年比で6.5%縮小し、12億7000万台になると予想される。

同社のリサーチ・ディレクター、ナビラ・ポパル氏は、「昨年問題になっていた供給制約が緩和された半面、需要制約が浮上している」と話した。その上で、「流通における多くの在庫や、すぐには回復しないであろう需要を見て、相手先ブランド製造(OEM)メーカーがパニックに陥り、今年の受注を大きく減らしている」と分析する。

原題:Apple Ditches IPhone Production Increase After Demand Falters(抜粋)

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