(ブルームバーグ): エーザイと米バイオジェンは共同で開発している治療薬「レカネマブ」について、早期アルツハイマー病患者を対象とした第3相臨床試験で、疾患の進行を遅らせたことが示されたと28日に発表した。認知症で最も一般的な種類であるアルツハイマー病の進行を明確に鈍らせることができる最初の治療薬となった。

エーザイの資料によると、レカネマブは同臨床試験の主要評価項目などで良好な結果が得られたという。今回の結果に基づき、米国で2022年3月末までにレカネマブのフル承認申請を行い、欧州と日本でも23年中のフル承認を目指すとしている。

内藤晴夫代表執行役CEOは同日の会見で、レカネマブを契機に「エーザイは変わる。大きく変わる」と強調。財務的に社会的にも大きなインパクトをもたらすとの見通しを示した。また、価格設定については「さまざまな面から慎重に検討していかなければいけない」としつつ、米国での迅速承認が取得できるころには「一定の考えをお示ししなくてはいけない」とも話した。

きょうの東京株式市場でエーザイ株は、午前8時半の発表を受けて取引開始から気配を切り上げ、ストップ高となる前日比1000円(17%)高の6784円で取引を終えた。

シティグループ証券のアナリスト、山口秀丸氏は同日付メモで、第2相臨床試験との比較でも抑制幅、抑制率とも良好なデータだと指摘、短期的に株価にプラスと分析する。半面、今の市場予想に織り込まれている以上のブロックバスターになるかは意見が分かれる可能性もあるとした。

両社は7月、レカネマブについて米食品医薬局(FDA)に迅速承認制度に基づくライセンスを申請。優先審査の指定を受けて、現在審査が行われている。審査終了の目標日は23年1月6日とされている。

 

 

 

 

(記者会見での発言などを加えて記事を更新します)

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