2022/9/18

【実録】この10年、世界に「ディープな日本」を発信した男

フリーランス ジャーナリスト
この記事は、日本にいると逆に見えてこない、日本のポップカルチャーの世界でのポテンシャルをお伝えする連載「Japan Rising」の最新回です。
INDEX
  • ①超人気YouTuberの怒り
  • ②Hydeに渡辺謙までが登場
  • ③「東京」にいては分からない
  • ④「日本に移住してはいけない理由」
  • ⑤日本へ押し寄せるYouTuberたち

①超人気YouTuberの怒り

YouTuberのクリス・ブロードは今、逆境を感じている。
ブロードは、欧米圏において日本の現代カルチャーを鋭く紹介する著名な映像クリエイターとして知られる。が、今や、日本のことをあまり紹介できなくなってしまった。
「この2年間、外国人らが日本に入国できなくなったことで、政府に対する怒りが高まっています」
この32歳のYouTuberは、NewsPicksの取材にこう語り、続けた。
「そのせいで、旅行のコンテンツは控えめにしています。『日本はこんなに素晴らしいよ。だけど、今は来ないでね』みたいなのは嫌なんです。大きな問題ですよね」
筆者が8月中旬、仙台駅から徒歩5分のカフェでランチをしたとき、ブロードはちょうど日本在住10周年を迎えたところだった。
この10年間、彼のYouTubeチャンネル「Abroad In Japan」は、海外の人が日本について知るための最も重要なオンライン空間の一つとなった。
もともとはブロードが英国人英語教師として母国の友人や家族と生活を共有するために始めたこのチャンネルは、今では登録者数が270万人を超えた。再生数も100万回超えが当たり前となり、今や世界中のメディアから注目される存在にまで成長している。