2022/9/15

【新】社会、経済が瓦解する。「国語力崩壊」の深刻な最終地

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、少年犯罪、貧困、児童虐待、自殺など、深刻な社会問題を扱うノンフィクションを多く著してきた作家の石井光太氏だ。
そんな石井氏ならではの視点から、日本に潜む社会問題を浮かび上がらせた新刊が『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)。読んでみると相当ゾッとする内容だ。
『ごんぎつね』(新美南吉)の一節「大きななべの中では、何かぐずぐずにえています」という葬儀前の場面を、「死んだお母さんを鍋で煮ている」と解釈する小学4年生の生徒たち。
不登校になった理由を問われ、「自分でも理由がわかんない」と回答する子ども。自分のいら立ちを「ウザ」「クソ」「死ね」といった言葉でしか表せず、言葉の行き違いで暴力事件を起こす高校生……。
本書が描く「国語力の危機」とは、「国語のテストの平均点が落ちている」「子どもが読書をしなくなって語彙力が落ちた」といった単純な問題ではない。
貧困や少年犯罪とも密接な関わりがある問題であり、放置すれば日本の経済、社会の崩壊につながりかねないと石井氏は警鐘を鳴らす。
以下、石井氏への前後編インタビューで、問題の本質を探っていく。
INDEX
  • 国語力は自分の人生を築く力
  • 「国語は時代とともに変化する」?
  • ビジネス化する最先端教育
  • 同質性の中で国語力は磨かれない

国語力は自分の人生を築く力