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コメント
注目のコメント
パキスタン政府の近年の国家予算は、300億ドル~400億ドル程度です。
一方、パキスタンの対外債務は1300億ドルほどあります。300億ドルは中国関係からの借款です。あとは世界銀行やアジア開発銀行などです。
パキスタンの通貨ルピーは、この1年間でドルに対して50%ほど下落していますが、無慈悲にも洪水の激化した7月からさらに急落しています。対外債務の返済がさらに困難になりました。
「1兆円の被害」といっても日本で感じるのとは重みが違います。
パキスタンの苦境は1947年の独立以来の構造的なものです。
まず、産業と資源がありません。
パキスタンのグローバル企業やパキスタンから輸入した製品、というのは思い浮かびにくいでしょう。実際、そんなものはほぼありません。
日本に移住労働者として来ているパキスタン人なら数万人単位でいます。頭脳流出はパキスタンの深刻な問題の1つです。
石油もガスも、輸入に依存しています。
そして、独立からの70年間で4000万人から2憶2000万人まで増え続けている人口、アフガニスタンなどからの数百万人の難民、多民族国家で乱立する政党と複数のクー・デタを含めた政変、反乱など、この国の課題は多く、つながっています。
農業と牧畜業以外だと、繊維産業などの製造業が多少あるだけです。
外国の製造業を誘致して製造業を発展させなければならず、そのためには電力、道路、港湾を含めたインフラが必要で、中国から借金してでも、インフラを整備してきました。スズキが工場をつくったり、成果が出てきていました。
このあたりはスリランカにも似ていますが、パキスタンもこの賭けにほぼ敗れました。
原因は、スリランカとほぼ同様で、
・国際的な消費と流通の低迷(コロナ禍)
・原材料価格の高騰(ロシア・ウクライナ戦争)
→・貿易赤字と自国通貨の下落
です。
ここからは、いかに損害を抑え、新たな借金を取り付けるか、という、スリランカと同様の課題を抱えています。
パキスタンの場合、この洪水とアフガニスタンの破綻(アフガニスタンは食料をパキスタンに依存しています)、西部の反乱といった悪条件が重なっています。
パキスタン支援 スズキが1000万円寄付
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1116227.html何やら相当大規模な災害がパキスタンで起こっているな、とニュースを見て漠然と思った方は多いのではないでしょうか。雨はすでに止んでいる地域が多いとのことで、あとは復興に向け前進するのみーーなのですが、事態はそう簡単ではありません。
インフレが進み、政情も不安定。その上で「史上最悪」といわれる洪水が起き、パキスタン政府や国際社会はどのように反応しているのでしょうか。具体的な被害状況と共に現状をまとめました。
P.S. 9月からNP編集部で取材に当たることになりました、小林です。これからよろしくお願いします!日本の約2倍の国土の3分の1が水没。温暖化がここまで甚大な被害を起こすとは。一国の問題ではなく、世界が早急に対処すべき問題です。
インダス文明を産んだ地ではありますが、当時は自然とのバランスが取れていた豊かな社会があったのではないでしょうか。しかし近年の工業化によって自然破壊が繰り広げられた結果、世界的に歪んだ状態になってしまいました。自然のしっぺ返しはおそろしい。