2022/9/3

【週末キャッチアップ】今週の3大ニュースを「要点解説」

NewsPicks 編集部 記者・編集者
NewsPicksでは毎週土曜日、本記事と同内容のニュースレター「週末キャッチアップ、3ポイント」を配信中です。重要ニュースの要点を素早くおさらいできます。音声版はこちら
INDEX
  • ①ついに1ドル140円台
  • ②稲盛和夫氏、亡くなる
  • ③ソフトバンクG、副社長0人に

①ついに1ドル140円台

(写真:時事)
💡概要
またしても円安のニュースです。
2日の東京外国為替市場などで、円相場が一時1ドル=140円台を記録しました。1ドル=140円台を突破するのは、1998年8月以来、約24年ぶりです。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利上げ継続の意向を示したことや、8月の米供給管理協会(ISM)製造業景気指数が市場予想を上回り、景気の底堅さを示しました。
一方で、日本は金融緩和を維持しています。
このことから、さらなる日米の金利差拡大を意識した円売りドル買いが進みました。
🤔ちなみに...
FRBのパウエル議長が利上げ継続の意向を示したのは、8月26日の年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演です。
パウエル議長は開口一番、「FRBが最も重視しているのはインフレ率を目標の2%まで引き下げること」と発言。さらに「物価の安定がなければ経済は機能しない」とした上で、「物価の安定を回復させるには金融引き締め策を一定期間維持する必要がありそうだ」などと訴えました。
このほか、ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言について、NewsPicksでは、その「真意」をひも解いています。
ポイント
①1ドル=140円台は約24年ぶり。
②パウエル発言や米ISM製造業景気指数が市場予想を上回ったことで、改めて米国の利上げ継続の見方が強まった。一方で日本は金融緩和を維持している。
③さらにドルと日本円の金利差が拡大するとの意識から、円売りドル買いが進んだ。

②稲盛和夫氏、亡くなる

(写真:AP/アフロ)
💡概要
経営の巨星が、この世を去りました。
京セラの創業者で名誉会長の稲盛和夫氏が8月24日、老衰で死去しました。90歳でした。同30日、京セラが発表しました。
稲盛氏は京セラを一代で世界的な企業に成長させたほか、KDDIの設立や日本航空(JAL)の再建にも携わるなど、多くの場面で経営手腕を発揮しました。
NewsPicksでは、稲盛氏の功績や経営哲学をまとめた記事を配信しています。
🤔ちなみに...
稲盛氏の経営手法として、広く知られているのが「アメーバ経営」です。
アメーバ経営とは、組織を5人程度のグループに分割し、それぞれのリーダーのもと、独立採算で運営する手法です。メンバーの1人ひとりに、細かい報告が求められる上に、グループ同士の競争もあります。
つまり、究極のマイクロマネジメント、かつ、厳しい競争原理で、大企業病を防ぐ仕組みで、京セラの経営やJALの経営再建にも生かされました。
こうした稲盛経営のベースには、常に「人間として何が正しいか」を判断基準にする哲学が織り込まれています。この稲盛氏の経営哲学に共感し、稲盛ファンを公言する経営者は国内外に数多くいます。
ポイント
①京セラ創業者で名誉会長の稲盛和夫氏(90)が老衰のため死去。
②稲盛氏はKDDIの設立、JALの再建などの功績を残した。
③「稲盛哲学」に共感する経営者も多い。

③ソフトバンクG、副社長0人に

(画像:NewsPicks編集部)
💡概要
ソフトバンクグループで、投資戦略で重要な役割を担っていたラジーブ・ミスラ副社長が8月31日付けで、辞任しました。
ラジーブ氏の辞任で、3人いた副社長がゼロに。直近の業績も厳しく、2四半期で5億円以上の赤字を出す状況で、正念場が続いています。
ソフトバンクグループに何が起こっているのでしょうか。NewsPicksでは、決算発表のあった8月8日以降の変化を解説しています。
🤔ちなみに...
今回、発表されたラジーブ氏の副社長辞任は既定路線ではありました。ソフトバンクGの広報担当者もNewsPicksの取材に「新しいチャレンジの時間を確保するために辞任したいという意向」と説明しています。
ただし、ファンド運営の先行きを左右する株式市況に改善の傾向は見えません。
新型コロナによる金融緩和で、実力よりも高すぎる評価が付き、未上場企業やグロース株はバブル状態となっていました。
そこにインフレがやってきて、日本以外の主要各国が金融引き締めを行なったことで、スタートアップの評価は急激に低下。「ユニコーンバブル」は崩壊しました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド1と2は一時の7兆円の巨額利益から、累計損益が1122億円まで急落。こうしたことが巨額赤字の引き金になり、ソフトバンクグループの苦境につながっています。
ポイント
①ソフトバンクグループのラジーブ・ミスラ副社長が辞任。副社長は0人に。
ミスラ副社長は投資戦略で重要な役割を担っていたが、辞任は既定路線だった。
③ただし、ファンド運営を左右する株式市況に改善の傾向は見えず、同グループの苦境は続きそう。