2022/8/18

【波乱】「生産性監視システム」が職場を壊す

INDEX
  • オフライン仕事は「ノーカウント」
  • 「作業中断」はペナルティ
  • まともな仕事を「過小評価」
  • 「トイレに行くのも不安」
  • 職場の「怠け者」を一掃
  • どんどん延びていく勤務時間
  • 「規制が追いつかない」現状

オフライン仕事は「ノーカウント」

長年、企業の財務担当を務めてきたキャロル・クレーマーは、数年前に転職した。転職先では部長職を得て、報酬も時給換算で200ドルという高待遇だった。
だが、初の給料日、彼女が手にした金額は思っていたより少なかった。新たな職場が採用していた「勤怠管理システム」が原因だ
この会社では、リモートワークの従業員全員を監視システムで管理していた。システムが「活発な作業」を検知した時間分のみ、報酬が支払われるしくみだ。
クレーマーは、このシステムが自分の仕事ぶりを適切に把握していないことに気づいた。
紙の資料を見ながら計算したり、プリントアウトしたものを読んだり、思考をめぐらせたりといったオフラインの作業はシステムに記録されず、「マニュアル労働」の時間として別途承認を受ける必要があったのだ。
財務管理の業務の一環として、クレーマーは12人以上の部下の仕事を監督していたが、部下への指導が常にデジタルに記録されるわけではない。タイムトラッカーをオンにし忘れた場合は、後から申請しなければ、支払いの対象にならない。
「社員に信用を求めておきながら、会社は社員をまるで信用していなかったというわけです」
(anyaberkut/iStock/Getty Images)