2022/8/8

【タイ発】観光復活のカギを握る「BL (ボーイズラブ)」

INDEX
  • アジア中からファンが集う「聖地」
  • 日本発のカルチャーを独自発展
  • タイ政府の心境は複雑
  • LGBTコミュニティの本音

アジア中からファンが集う「聖地」

タイのプーケットにあるレストラン、ディブックには、なかなか予約の取れないテーブルがある。訪れる客のほとんどが、店の隅にある、赤いテーブルクロスと紫の花が目印の席に座りたがるのだ。
この席は、ドラマ『I Told Sunset About You~僕の愛を君の心で訳して~』と、続編『I promised You the Moon』の中で、男子学生のテー(プティポン・アサラタナグン)とオーエウ(グリット・アムヌアイデシャゴン)がデートを重ねる場所として登場する。
同シリーズは、タイ国内のみならず、海外でも爆発的な人気を博しているBL(ボーイズラブ)ドラマだ。
ディブックには、国内はもとより日本や韓国、ベトナムからも、ドラマの熱心なファンが集まり、主人公たちのお気に入りの場所で食事と記念撮影を楽しんでいる。
「(ファンは)ものすごい叫び声をあげるので、救急車を呼ばなくちゃと思うほどです」と話すのは、同店オーナーのスーンタリー・ティプラットだ。
男性同士の恋愛を描くBLは、タイでは「Yシリーズ」と呼ばれ、アジア一帯で大勢のファンを獲得している。
ファンサイト「Blwatcher.com」によると、タイ発のBLドラマは今年すでに17本が公開されている。2020年から2021年にかけての公開本数は43本だった。
このジャンル最大のヒット作の一つであるラブコメ『2gether』(2020)は、公開からわずか数カ月で、ストリーミングプラットフォーム「LINE TV」での再生回数が1億回を突破した。