2022/9/12

脱属人化で営業組織を強くする「FORCAS Sales」とは何者か

NewsPicks Brand Design editor
すべてのセールスパーソンにとって、顧客を深く理解し、仮説に基づいて提案する力は必須だ。しかし、これらのスキルは属人化しやすく、ノウハウを学ぼうと思っても“センス”の一言で片付けられるケースも多い。
顧客をもっと効率的に理解する──。そんな発想から生まれたのが、セールスリサーチプラットフォーム「FORCAS Sales」だ。
このツールの活用によって営業活動はどう変わるのか。サービス提供元のFORCAS執行役員CEOの田口槙吾氏と、2021年12月からFORCAS Salesを導入したNTTコミュニケーションズ株式会社 関西支社 第一ビジネスソリューション営業部門 部門長の藤盛清記氏が、成果を出し続ける営業チームづくりについて語った。

“顧客起点”の提案はできているか

──昨今、コロナ禍の影響で、オンラインでの商談が主流になるなど、営業の仕事のあり方自体が変化しています。セールスパーソンが今の時代に結果を出すためには何をすれば良いのでしょうか?
藤盛 コロナ禍に限らず、どんな時代や場面でも、企業の持続的な成長を実現するためには「真の顧客理解」が必要です。
 その一方で、オンラインセールスが中心となった現在では、お客さまと顔を突き合わせることなく、限られた時間のなかで刺さる提案をしなければいけません。それゆえに、「真の顧客理解」の重要性がさらに増していると感じています。
 営業の本質は「お客さまのお困りごとや課題を解決し続ける」ことです。そのためにはお客さまが置かれている状況を事前に把握し、理解して、一緒にそのソリューションを作り上げていかなければなりません。
田口 同感です。これまでもピーター・ドラッカーやフィリップ・コトラーが顧客理解の重要性を説いてきましたが、お客さまの「課題」を把握し、それを解決するための「仮説」を作る仕組みを持つ営業組織はとても少ないように感じます。
藤盛 コロナ禍以前であれば対面の営業が主流だったので、ふとした雑談からお客さまのお困りごとを知り、課題を突き止められる機会も多くありました。
 オンラインセールスが主流になった現在では、そうした機会が比較的少なくなり、まだまだ腹を割ったお話ができるような状態ではない、と感じています。
 そのため、商談以前の段階で、これまで以上にお客さまの状況や課題を深く理解する。セールスパーソンにはそうしたスタンスの切り替えが必要です。
田口 デジタル化も相まって、お客さまがサービスを購入するまでのプロセスも大きく変わりました。
 Webサイトや資料ダウンロード、SNS、オンラインセミナーなど、お客さまがこちらのサービスを知る手段は格段に増えたので、商談はかつてのような「サービス紹介」の場ではありません。
 お客さまの課題解決に向け、こちらのサービスがどのようにお役立ちできるのか、具体的な活用シーンが見える提案をしないと売れなくなっています。
 例えば中期経営計画に「今年500億円の売上達成」を目標に掲げているお客さまがいたとして、去年450億円まで達成できている状況で「御社が持ってる1万円の商品を1000個売れる広告商材に興味ありませんか?」と営業をかけても全く刺さらないですよね。
 このお客さまは、目先の数億円を売り上げたいわけではない。どうすれば今年中に50億円の差分を埋められるのか、これこそが真の「課題」なわけで。
 本当にすべきなのは、決算資料に書かれた数字を読み込んで、それをもとに「50億円の売上を作るため、私たちならこんなサポートができます」と提案すること。これが顧客起点の営業だと思うんです。

顧客理解にも“型”はある

藤盛 しかし、多くの現場では「顧客起点の営業」を実践するためのノウハウが共有されていないことが少なくないと感じています。
 顧客理解のプロセスには、直観、閃きなど経験で磨きこんだセンスや営業の向き不向きなど、ある程度パーソナリティが関係するとしても、ノウハウや型として展開できる部分があるはずです。
田口 おっしゃる通りです。「営業トークをどうする?」とか「提案書をどう作る?」など、お客さまに対する直接的なコミュニケーションには色々とノウハウがあるんです。
 その一方で、お客さまの課題を把握するためにどうやって情報収集するのか、どんな資料に目を通すべきか、どのようにして仮説を立てるべきかといった顧客理解のプロセスは、“センス”で片付けられている部分が多いんですよね。
 または、「新聞を毎朝読んでおけ」みたいな教え方になってしまう。
藤盛 たしかに「営業トークが上手くなる本」はたくさんあっても、「顧客理解が上手くなる本」ってあまり見ません。
 先ほど申し上げたパーソナリティの部分や営業の向き不向きの「センス」が関係するとしても、顧客理解のプロセスには、“ノウハウ”や“型”として落とし込める部分があるはず。
 例えば、お客さまの会計年度はいつで、何を目標にし、どんな商材を扱い、達成に向けて何が必要か。
 これはまさに「3C分析() 」でも言われていることですし、しっかりと調べればわかることですが、それができないのは、日々多くの業務を動かすのに手がいっぱいのセールスパーソンにとって、顧客理解に費やす時間が確保しづらくなっているのではと感じます。
 もしくは、「やり方が間違っている」か「何を調べたらいいのかわからない」ということもあると思います。
※マーケティング(及び事業計画)のフレームワークの一つ。市場、企業、競合(customer、company、competitor)を対象とした分析方法のこと
 この部分を「型」として体系化できれば、営業チーム全体の生産性もグッと上がるでしょうね。
田口 でも、世の中にはこうした顧客理解のプロセスが整備されている組織が少ない。それをテクノロジーで解決できないか──。そう考えて作ったのがセールスリサーチプラットフォーム「FORCAS Sales」です。

顧客起点で営業チームを強化する

──FORCAS Salesの特徴を教えてください。
田口 FORCAS Salesとは、営業に最適化された国内企業150万社以上の企業データにどこからでもアクセスして、たった5分で顧客理解度を圧倒的に高めることができるサービスです。
 FORCAS Salesの特徴は、主に営業組織の顧客理解に関する「効率化」「仕組み化」「共有化」の3つ。
 FORCAS Salesを活用することで、営業担当はたった5分で顧客や周辺環境を把握でき、そのプロセスをログデータによって可視化することができます。
 さらに、その理解した顧客情報を引き継ぎメモとして顧客に紐付けて残すこともできる。
 これにより、ユーザー企業さまの中でブラックボックス化していた顧客理解を型化し、誰でも短時間で顧客起点のご提案ができるようにして、組織としての営業力を強くします。
藤盛 FORCAS Salesは弊社でもすでに2021年12月から導入し、一部で運用していますが、私たちが最も期待しているのは、先ほど田口さんがおっしゃった「営業組織を強くする」という部分なんです。
 というのも、この7月にNTTドコモグループの法人営業が再編成されまして、NTTコミュニケーションズとNTTドコモが一体となり、「ドコモビジネス」という法人事業ブランドのもと、NTTドコモグループのアセットをワンストップでお客さまに提供していく体制に変更しました。
 営業組織も大きく変わるわけですが、そうした大きな環境変化のなかで成果を出し続けるためには、他の事業会社から集まってくるメンバーや新しい人材を束ねつつ、スピード感を持って生産性を高めなければいけません。
 だからこそ、初心者やベテラン、どの会社に所属していたかを問わず、顧客理解のスキルを向上させ、短期間で組織全体の営業力を底上げしたいという私たちのニーズにFORCAS Salesが最適だと思いました。
田口 FORCAS Salesが導入されている部門ではどのように活用いただいていますか。
藤盛 個別に顧客理解のスキルを高めるだけでなく、組織としての営業力強化に役立てています。
 例えば、私たちのチームでは今年から、セールスとSEの境界を取り払う試みを行なっています。
 これまで、セールス担当者が受注してきた仕事をSEに接続するという一般的な業務フローでしたが、これだと「セールスの仕事はここまで」「SEの仕事はここから」と見えない壁ができるんですよね。
 そうなると、セールスは数字を求める一方で、SEはチームのKPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)をあまり意識しなくなるなど、目線のズレが生じる。
藤盛 でも、本来は「お客さまのために何をすべきか」という軸があり、そこから役割が生まれるわけで、業務内容に違いはあってもセールスとSEに垣根があってはいけないはず。
 特に昨今は、お客さまと末永く関係を続けていくためのプランニングに注力していて、そのためには顧客理解や仮説構築が重要です。
 だからこそ、現在ではSEのメンバーも提案の準備段階、顧客理解のプロセスからプロジェクトに入ってもらうように業務フローを変更したんです。
 実際にチーム全体で数字にコミットする意識は前より格段に強くなりましたし、 SEもセールスと同じようにFORCAS Salesを使って顧客理解を行い、仮説を共有して当然、という景色になっています。
田口 顧客起点の営業組織づくりができているわけですね。
藤盛 はい。メンバーの目線を揃える意味でも非常に有効に活用できているなと思いますね。
 加えて、この取り組みを始めたことで、チーム内での顧客理解の度合いが可視化されたんです。要は「これまでの自分の調べ方は効率が悪かったんだな」と気づいてもらえる機会になりました。
 自ら気づきを得て、そこから改善できるメンバーが増えれば、チーム全体の生産性向上にもつながります。

「わかったつもり」の危険性

田口 DXの文脈で言えば、ユーザー企業さまがFORCAS Salesに期待しているポイントはまさにそこなんですよね。
 FORCAS Salesでは顧客理解のために、どのセールスパーソンが何時間、どのページをどう見たのか、という利用ログが全部データ化されます。
 当然、下調べしていない人は一目瞭然ですし、調べていても成果が出ていない人は、閲覧履歴からチェックしなければならない情報が間違っていることがわかり、その改善を促すことができる。
 私たちは、導入いただいたら終わりではなく、定期的にカスタマーサクセスがレポートを共有して、ユーザー企業さまの改善に向けて伴走支援しています。
FORCAS Salesで出すことができるログデータの例。
上)「人別セクション別利用実績」。メンバーがどの資料をどれだけの時間見たのかが可視化される。
下)「人別検索企業別セクション内訳」。どの企業がどれだけ検索されたのか、どんな資料が検索されたのかが可視化される。
藤盛 データをもとに成果を横並びで見ると、すごく明白なんですよね。「このタイミングで財務関係の資料にあたってもあまり意味がない」ということは往々にしてあります。そこが可視化されるのは非常にありがたい。
 個々人の営業スキルがだんだん向上して、チームとしての能力が上がり、売上も上がっていくという流れが作れるので。
 ただ、FORCAS Salesの便利さゆえに、ツールでお客さまを調べただけですべてを「わかったつもり」になる危険性も孕んでいます(苦笑)。
 重要なのはその先で、こちら側で理解したものを仮説としてお客さまのもとに持っていき、課題と合致しているかを確認してこその顧客理解だと思っています。
 これを繰り返すことで顧客理解の型が作れるでしょうし、営業のセンスみたいなものも磨きこまれると考えています。
田口 そうした真の顧客理解をしたうえでお客さまの課題を解決する。その基盤を作るのがFORCAS Salesの価値だと思っています。
 結局、私たち自身もユーザー企業さまの売上を上げたいんですよ。
 そのプロセスにおいて、顧客と直接コミュニケーションを行うすべてのセールスパーソンが顧客理解度を高め、顧客起点の営業活動を強烈に後押しする。FORCAS Salesはそんなサービスでありたいですね。
藤盛 個人的には、次の収益源を見つけ出し、将来にわたって持続的に成長し続けるには、BtoBの世界で留まっていては達成できません。
 BtoBtoXのように、センターBの先にいるお客さまの課題を、センターBの方と一緒(共創)になって解決するところまで踏み込んだ提案も必要になるでしょうし、そこに向けて事業基盤を強化していきたいと考えています。
 私たちのCRM(顧客関係管理)には、過去に培ってきた顧客理解のナレッジが蓄積されています。
 顧客理解の深化だけでなく、FORCAS Salesとの共創で、お客さまへより最適なプランや価値を提供するための戦略立案にそれらを活用していきたいですね。
田口 ありがとうございます、是非、またお話しさせてください。
 FORCAS Salesは「共創」をビジョンに掲げていて、「導入したら終わり」のサービスではありません。
 今後はNTTコミュニケーションズさんを含め、すべてのユーザー企業さまともより積極的に共創して、成果を出し続ける営業チームづくりに貢献したいですし、セールスパーソンがよりビジネスを楽しめる世界を作っていきます。