(ブルームバーグ): 米政府はオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングが主要装置を中国に販売するのを禁止するようオランダ政府に強く求めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。半導体産業での中国の台頭を抑える米政府の取り組みが拡大している。

関係者によれば、ASMLに旧式の深紫外線(DUV)露光装置を一部販売させないよう米当局者がオランダ当局に働き掛けている。こうした装置は最先端品からすると一世代前に属するが、自動車や電話、コンピューター、ロボットなどに必要な汎用半導体の一部製造ではなお最も一般的に使われている。

ASMLは最先端の極端紫外線(EUV)リソグラフィーシステムについては、オランダ政府から輸出許可を得られず、中国に出荷できない状況にある。

バイデン米政権は現在、中国の消費財に対する関税の一部適用除外について細部を詰めているとされ、今回の件はそうした中で浮上した。

バイデン米大統領、対中関税の一部撤回に近づく-インフレ対応で

米商務省とオランダ外務省はコメントを控えた。ASML広報担当者は「その議論は新しいものではない。決定は何ら下されておらず、うわさに関して臆測やコメントをするつもりはない」と述べた。

ブルームバーグの報道を受け、ASMLの米国預託証券(ADR)は5日、一時8.3%下落し、取引時間中としては2020年3月以来の大幅安となった。

複数の関係者によると、米政府はDUV技術の中で最も高度な液浸リソグラフィー機器の販売を禁止させることに注力している。

米当局者は日本に対しても、中国半導体メーカーへの同様の技術の出荷をやめさせるよう圧力をかけようとしている。関係者1人が明らかにした。この分野ではニコンがASMLと競合している。

液浸リソグラフィーは「ArF液浸(ArFi)」とも呼ばれる。中国のファウンダー・セキュリティーズによると、ASMLは2021年にArFi機器を81台販売。ニコンの販売台数は4台で、ASMLが95%の市場シェアを握る。

ニコンの広報担当者は、この件については情報を持っていないとコメントした。

中国外務省の趙立堅報道官は6日に北京で開いた定例記者会見で、こうした米国の動きを「技術テロ」だと非難。「これは国家権力を乱用し、技術的覇権を振りかざす米国の強制外交の新たな例だ」と述べた。中国が何らかの対抗措置を取る計画があるかどうかには言及しなかった。

原題:China Accuses US of ‘Technological Terrorism’ as Chip Curbs Grow、US Pushes for ASML to Stop Selling Chipmaking Gear to China (2)(抜粋)

(最終段落に中国の反応を追加して更新します)

©2022 Bloomberg L.P.