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解剖実習遺体からプリオン=世界初、感染の危険―長崎大

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    総合内科医 医学博士

    プリオン病は、体の中にあるプリオン蛋白と呼ばれる蛋白に何らかの異常型蛋白に置き換わり、それが脳の中に蓄積していく病気です。その代表がクロイツフェルト・ヤコブ病で、脳の中に異常な蛋白が蓄積することで、急速に進行する認知症や運動機能の障害が起こり、有効な治療法はなく予後は極めて不良です。手術器具や医療行為を介してヒトからヒトへ感染することが知られており、プリオン病の患者に使用した手術器具は特殊な方法で消毒することが求められています。

    日本ではどこの大学の医学部も2~3年生で解剖実習を行います。献体をしていただいたご遺体を数ヶ月かけて医学生が解剖し、知識を身につけていきます。今回の長崎大学からの論文では、2020~2021年に75人の献体のプリオン病のスクリーニング検査をしたところそのうちの1人からプリオン病の異常蛋白を検出したことが報告されています。論文にはそれ以上のことは記載されていませんが、解剖実習を通じて感染するリスクを考慮して、献体のプリオン病スクリーニングを行うかどうかについて、議論が始まるきっかけになる報告だと思います。

    https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2204116


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    専修大学 商学部教授

    プリオンと呼ばれる病原性たんぱく質(非生命体)は極めて安定な性質を有し、加熱やホルマリン漬けの処理をしたとしても、タンパク質の構造自体が残っている限りは病原性を保持し続けます。この点では危険です。しかし、これまで知られている範囲においては、「物質」自体が物理的に体内に取り込まれない限り感染を起こす可能性は無いとされているため、細菌やウイルスなどの生命体による感染症のような高い伝搬性は低いとされます。

    医薬品製造の際は、プリオンが混入する可能性は常にあると考え、ヒト血液を原料とする「血液製剤」や後述するウシ骨髄由来のゼラチンを原料とする医薬品を製造する際などでは特に注意を払っています。

    ヒトーヒト感染の場合、プリオンに感染した血液の輸血や臓器移植などで起こります。感染すれば徐々に脳がスポンジ状なっていき、最終的には認知症状を起こすことが知られます。クロイツフェルト=ヤコブ病と呼ばれるこの病態は、発症までの時間が極めて長いため問題にされますが、仮に発見できても治療法はありません。

    かつてプリオン感染が大規模に問題になったケースは「ウシーヒト間の異種感染」でした。今から20年くらい前、プリオンを原因とする狂牛病に感染した牛肉を食べた人が、本来は牛で発生するBSE同様の認知症状を示すことが分かった事件です。当初は海外で発見されましたが、その後日本国内でも発生し、感染した可能性がある「国産牛肉」の全回収対応が取られました。

    BSEは、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染し、牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し死亡します。人に感染した場合も同様です。この時は、BSEに感染した牛の脳や脊髄(骨粉)などを原料としたえさを他の牛に与えられたことが原因で起こりました。現在も引き続きプリオン感染は警戒されており、プリオン感染を伝播させる可能性が高い部位はウシのえさには混ぜられていないはずです。

    非生命体である「プリオン」という病原性タンパク質による感染症は、このような性質で感染が発生するものであり、解剖実習に使われるご遺体から発見されたとしても、通常の実習の範囲で実質的に感染の危険が生じているとは考えにくいと思います。


  • 株式会社ステラ・メディックス 代表 獣医師/ジャーナリスト

    遺伝学や先天異常、感染症、放射線医学など独自な分野での実績が豊富な長崎大学。世界初のプリオン感染の危険に警鐘を鳴らしたというのがどこかこの大学らしい印象。


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