プーチン氏「領土奪還は責務」 ピョートル大帝で侵攻正当化
コメント
注目のコメント
ピョートル1世は、名君、というか、怪物的なところのある尋常ならざる人物でしたが、「大帝」と呼ばれるにふざわしい大業を成し遂げました。
ヨーロッパ史上屈指の名将、「スウェーデンの流星」ことカール12世を相手に、大北方戦争を20年間(1700~1721)戦い抜き、物量と膨大な犠牲と、何より粘り強さで勝利しました。ロシアはそういう戦争の仕方をする国です。
20年の戦争の結果、今のペテルブルグ近辺にあたるスウェーデン領だった地域が、ロシアに割譲されました。20年間と犠牲の割には、それほど広い地域ではありませんでしたが、ロシアはバルト海に出ることができました。そして、100年後にポーランドやフィンランドを併合する足がかりになりました。
なお、この戦争でスウェーデンと連合していたウクライナの北部もロシア軍に占領され、この時に併合されています。
このプーチン大統領の発言の問題は、「古くからロシア人が住んでいたのだから、スウェーデンの領土を奪ったのではなく、ロシアの領土を取り返したのだ」と言い張っていることです。
そんなことをいうなら、この地域には、もっと古くから、ドイツ人もユダヤ人もポーランド人も住んでいました。それならペテルブルグをドイツやポーランドやスウェーデンが占領するのも「領土奪還」になります。
「自民族が住んでいるから我が国の領土だ」というのはヒトラーがチェコやポーランドにしたのと同じ、無茶苦茶な言いがかりで、これで説得される人間はヨーロッパにはいないでしょう。誰かこのオッサンを18世紀に強制送還してくれ。
この論理を使えばモンゴルはロシア含めてユーラシアのだいたいどこでも攻め込んでOKになりますね。冷戦終焉直後、旧ユーゴ紛争に見られる「大〇〇主義」(〇〇にはセルビアとかハンガリーとかリトアニアとかが入る)が流行ったが、歴史的な領土奪還を言い出すとまとまりがつかなくなるから止める、というのが近代国際関係のお約束。