2022/6/9

【検証】なぜ日本は核燃料の「再利用」にこだわるのか

NewsPicks 記者
突然だが、日本がどのくらいのプルトニウムを保有しているかご存じだろうか。
答えは約46.1トン(2020年末時点)。
実際には、8.9トンが国内で保管され、英国に21.8トン、フランスに15.4トンを保管している。
プルトニウムの保有量は、1990年代から増え続けている。
国際原子力機関(IAEA)は、プルトニウムで1発の核爆弾が作られる可能性がある量を8キロとしている。46トンあれば、単純計算で5750発の核爆弾ができる量だ。
当然ながら、日本は核不拡散条約(NPT)に批准した非核兵器国であり、非核三原則を国是としている。
その日本がなぜ、それほどたくさんのプルトニウムを持っているのか。
原因は、日本の原子力政策が「核燃料サイクル」と呼ばれる仕組みを柱として進められてきたことにある。
だが、巨額を注ぎ込んできたにもかかわらず、その仕組みは未だ完成していない。
日本はなぜ核燃料サイクルを目指し、今もこだわり続けるのか。
抜け出せなくなった巨大事業の実態を解き明かす。
INDEX
  • 夢のサイクル
  • 高速増殖炉の失敗
  • 25回の完成延期
  • 再処理のお金
  • なぜやめないのか
  • 破綻を待つのみ