[サンフランシスコ 2日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、経済について「超悪い印象」を持っており、10%程度の人員削減が必要との見解を示した。2日に幹部に送った「世界的に採用全面停止」と題した電子メールで明らかになった。

現時点でテスラのコメントは得られていない。

マスク氏は5月31日夜に従業員に向けて送ったメールでは、オフィス復帰を強く求め、従わない者は「辞職したものとみなす」と述べていた。

証券取引委員会(SEC)への年次報告書によると、テスラ本社と子会社の従業員数は2021年末時点でおよそ10万人。

人員削減や採用凍結に関するマスク氏の電子メールが送付される前には、東京のほか、ベルリンに新設したギガファクトリー、パロアルトの拠点で、リンクトインに約5000件の求人広告が掲載されていた。

リセッション(景気後退)リスクへの懸念が高まってはいるものの、テスラ車や他社のEVへの需要はなお底堅さを維持している。

ただ、テスラはロックダウン(都市封鎖)の影響で上海工場の停止を余儀なくされ、現在は生産再開に取り組んでいる。

企業幹部はこのところ、経済に関する暗い認識を相次いで示している。ゴールドマン・サックスのジョン・ウォルドロン社長兼最高執行責任者(COO)は、現在の経済的混乱は自身のキャリアの中で最も困難なものの一つと表明。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米経済が直面している課題を迫りくる「ハリケーン」と呼んだ。

INGのマクロ経済リサーチ担当グローバルヘッド、カーステン・ブレゼスキ氏は「マスク氏の言う悪い印象は、多くの人に共有されているが、世界的な景気後退について話をしているわけではない。世界経済は年末に向けて冷え込むだろう。米経済は冷え込む見通しだ。中国と欧州は回復しないだろう」と述べた。

マスク氏は最近、繰り返し景気後退のリスクに言及している。

5月中旬にマイアミビーチで行われた会議にオンラインで参加した際には「われわれは恐らく景気後退に入っている。この景気後退は悪化するだろう」と発言。「恐らく、1年か1年半か、厳しい状況が続くだろう。調整が起きるには通常1年から1年半かかる」と述べた。

5月下旬にツイッターのユーザーから景気後退が近づているかと質問された際には「イエス。ただ、これは実は良いことだ。あまりにも長い間、愚かな人間にふんだんに金が与えられてきた。ある程度の破綻が起きる必要がある」と答えた。

2日には「景気後退は必要不可欠な経済的浄化作用を果たす」とツイッターに投稿している。