2022/5/27

【兵庫】“SDGs”誕生前からエコアクション。工場は工夫いっぱい

NewsPicks +d編集部
淡口(うすくち)醤油発祥の地・兵庫県たつの市にある日本丸天醤油。1795(寛政7年)の創業以来、醤油からはじまり、ポン酢、つゆなどへと商品を広げてきました。

その流れのなかで新たに、フードロスをなくし、農家の収入を拡大させたいと始めたジェラート作り(前編を参照)。SDGsの取り組みのひとつですが、実はSDGsという言葉が生まれるずっと以前から、会社のエコ意識は始まっていました。後編では、工場内で受け継がれているエコアクションを紹介します。
この記事はNewsPicksとNTTドコモが共同で運営するメディア「NewsPicks +d」編集部によるオリジナル記事です。NewsPicks +dは、NTTドコモが提供している無料の「ビジネスdアカウント」を持つ方が使えるサービスです(詳しくはこちら)。
▲2006年。いち早く環境省の「エコアクション21」を取得。
日本丸天醤油 
1795年創業。うすくち醤油を主力商品に、つゆ、ポン酢、スープの素なども種類豊富に展開。「そうめんつゆ」「さしみ醤油」などは業界に先駆けて市場を作り出し、近年はさらに健康志向の市場に合わせた商品も拡大。そのひとつ、減塩でありながらゆずの香りがより引き立つ「天翔 減塩ゆずぽん酢」はリピーターも多い人気商品。OEM商品も多く取り扱い、取引先の要望に合わせてスピーディーに商品化できることが強み。
INDEX
  • エコ意識の始まりは15年以上前

エコ意識の始まりは15年以上前

一般にはエコへの意識やリサイクル活動も少なかった2006年。いち早く環境省の「エコアクション21」(中小事業者向けの環境マネジメントシステムの認証・登録制度)を取得した日本丸天醤油。それ以前から環境への配慮や循環システムに力を入れ、認証に向けて指揮をとっていたのは、先代の社長(現社長の叔父)でした。
現在でもその精神は受け継がれていて、敷地内を歩けば、さまざまな取り組みを見ることができます。たとえば……。
汚水はバイオ処理してから排水
工場で発生した汚水は、下水に直接流さず、敷地内のバイオ排水設備で事前に処理。微生物によって分解され、きれいな水質に戻してから排水しています。
▲工場の屋上にあるプールのような排水処理施設、曝気槽(ばっきそう)。微生物の生物化学的酸化反応を促すため、酸素濃度を日々チェックする。
工場周辺の自然環境が健全なことは、敷地内を流れる小川(農業用水)の透明度からもわかる。水の中にはカニも生息。かつては天然のうなぎがいたことも。
▲工場周辺の自然環境が健全なことは、敷地内を流れる小川(農業用水)の透明度からもわかる。水の中にはカニも生息。かつては天然のうなぎがいたことも。
かつお節、シイタケなど食材ゴミは二次利用
出汁をとった後の「節かす」は、専用置場に貯めておき、肥料会社を経由して二次利用。
▲大きなアルミ製箱に、節かすが約100キロも。出汁を取った後でも、近くを通っただけでかつお節のいい香りが漂う。
早くから進めてきた循環の仕組みは、日本丸天醤油の先見性と思いやりの表れ。自社で仕組みをつくり出すことで、経費削減にもつながっています。また、環境に配慮した商品づくりは、延賀海輝社長によりいっそう加速。今後も、ユニークな商品の誕生に期待が集まります。
*食品ロスと農業振興を考えて開発された「YASASHIKU Gelato」(前編で紹介)
延賀海輝(のぶか・みなき)
日本丸天醤油・9代目社長。1980年生まれ、兵庫県出身。京都大学経済学部卒業後、キヤノン入社。2009年に日本丸天醤油に入社し、2015年・35歳のときに社長に就任。
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