FRB、将来的にMBS売却検討の公算=NY連銀総裁
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元々、基本方針で表明していた内容の確認ですが、決して単純な課題ではありません。
第一に、市場金利が上昇してしまうと、借り換えが減少する結果、MBSの償還ペースは減速します。この間のモーゲージ金利が極めて低水準だっただけに、この効果は一層大きくなることが想定されるので、ウイリアムス総裁が示唆するように、毎月の削減目標の達成が困難になります。つまり、その分だけ多額の市場売却が必要となる訳です。
第二に、MBSの市場売却を試みる時点では、米国の景気減速がかなり明確になっている可能性があります。住宅市場の問題は、インフレと同じく幅広い国民に影響しうるので、モーゲージ金利の上昇や住宅価格の下落を伴う政策対応には、政治的にも抵抗が大きくなる恐れがあります。
長い目で見れば、次の景気拡大局面でのバブルを避ける意味でも、今回の局面のうちに住宅市場をある程度調整しておくことは有用だと思いますが、その実現は容易ではありません。よく言われているFRBの量的引き締め(QT)について、バランスシート圧縮や、あまり報道されていない住宅ローン担保証券(MBS)の動向について注目しています。
QTについて財務省証券の残高は減っているもののMBSの残高はあまり減っていないようです。
しかし、9月からMBSの再投資が停止され、保有資産の縮小(ランオフ)上限額が月950億ドルに引き上げられ、財務省短期証券(TB)の保有縮小にも着手するようです。
参考:米の「量的引き締め」がやや遅れている理由
https://gentosha-go.com/articles/-/45472
引用:米国の金融環境は、大幅利上げやQT開始を受け、緩和の度合いは修正されつつありますが、まだそれほど引き締まった状態ではありません
参考:FRBのQTが9月に「本格化」、9兆ドルのバランスシート圧縮加速
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-29/RHE7QEDWRGG001
引用:9兆ドル(約1250兆円)のポートフォリオを圧縮する広範な計画の一環としてランオフ(償還に伴う保有証券の減少)の月間上限を米国債については600億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)は350億ドルに引き上げる。
また、今月のFOMCのパウエル米FRB議長の会見要旨によりますと、
「MBS売却、短期的に検討すること想定せず」とのことです。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N30S38N