[ワシントン 11日 ロイター] - 米議会上院で11日、人工妊娠中絶の権利を保護する法案を本会議で審議するかどうかの是非を巡る採決が行われ、反対多数で否決された。審議入りには60人の支持が必要だったが、賛成したのは与党・民主党議員のうち49人にとどまり、野党・共和党議員50人全員と民主党穏健派のマンチン議員が反対に回った。

民主党が今回の法案を提出したのは、連邦最高裁が中絶の合憲性を認めた1973年の判決をこの夏に覆す可能性が出てきたため。当初から可決の公算は小さかったが、民主党はこの取り組みによって、11月8日の中間選挙で獲得できる議席が増えると計算している。各種世論調査で中絶の権利を認めるべきと考える有権者が圧倒的に多いからだ。そして中間選挙で勝利を収めれば、中絶の権利法制化に弾みがつくことになる。

この日の採決の前には、女性を主体とする数十人の民主党下院議員が「自分の体のことは自分で決める」と叫びながら下院から上院まで行進し、上院議場に入って中絶の権利についての議論を静かに見守った。

下院は昨年9月、今回上院に提示されたのと同様の中絶権利保護法案を218対211で可決している。