イージーマネーに幕、G7中銀53兆円資産圧縮へ-金融ショックの恐れ
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あのー
織り込みって言葉知ってます?
ここに書いてあることのほぼ全ては既知のこと。
(勿論、全て折り込み切ったわけではない)
右往左往せず、
正しく恐れ、
冗長性を維持しつつ、
臨機応変に、対応すること😎
注目のコメント
「中央銀行の資産圧縮がどの程度の引き締め効果を持つか?」は、「中央銀行の資産拡大がどの程度の緩和効果を持つか?」と裏腹であり、論争の続いている問題です。
最大公約数的な理論上の理解は、「中央銀行がベースマネー(=中銀債務)類似の資産(例:短期国債)の購入により資産を膨張させる場合は、効果も副作用も小さい。一方、中央銀行がベースマネーと性質の異なる資産(例:長期資産、リスク資産)の購入により資産を膨張させる場合は必ずしもそうではない」ということかと思います。したがって、表面上の資産圧縮の〇兆円といった数字よりも、「どのような資産を減らすのか?」が本来問われるべきことは確かです。
とはいえ、中央銀行自身が、資産買い入れ時にその緩和効果をアピールするため、「〇兆円の増加」といったアナウンスを使ってきた面はあります。したがって、資産縮小時にこのような報道が出やすいこと自体は、止むを得ないし想定すべき事であると感じます。中央銀行がインフレ目標を決めて市場にどんどんお金を流す量的金融緩和は、次の3つのルートで需要を作るはず。
①モノとサービスの裏付けのないお金を増やせばお金の価値が下がって通貨安が起きインフレ期待が高まる。これからインフレが来そうと人々が信じたら、あるいは実際にインフレになったら、物価が上がる前にモノやサービスを買っておこう、設備投資をしておこうというので需要が増える。
②通貨安になれば輸出産業を中心に企業が儲かる。企業が儲かるとなればその思惑で株価が上がり、株でもうけた人たちが需要を増やす。
③カネが溢れて金利が下がれば政府が安心して国債を発行して財政支出を増やす。同じく企業は低い金利でカネを借り、設備投資を増やすはず。
いわゆるリフレ派の当初の主張は①だったはずですが、インフレ期待が高まったら、将来が不安で貯蓄する人が出て、効果は曖昧になっています。効果が曖昧である以上、縮小してもさほど打撃にはならないように感じます。
②の効果は確かにありました。8000円前後だった日経平均が黒田バズーカで一気に2万円を突破して、お金持ちが高級品を買い漁って景気のムードが一気に良くなったことは今なお記憶に新しい。
③低金利を良いことに政府が大きな赤字を続けたことは紛れもない事実ですが、多少金利が上がっても、実際に政府の利払いが膨らむまでには間がありますから、よほど酷いインフレにならない限り、政府が一気に財政支出を絞ることはなさそうです。企業も十分以上に手元資金を溜め込んでいますから、中央銀行の量的な縮小そのものがいきなり設備投資に及ぼす影響は乏しそう。
結局、量的緩和の縮小でもっとも影響を受けるのは②のルートであるように感じます。そうだとすると、中央銀行が手持ちの資産を減らすのは、金利を引き上げ以上の劇薬です。前回の引き締め局面で米国は、利上げと量的引き締めが重なることになった途端、市場が荒れて利上げを止めざるを得なくなりました。各国の中銀がどこまで資産を減らせるかは市場の耐性に懸かっているように感じます。とはいえ前回と異なり、今回はインフレ抑制というやっかいな要因が絡むだけに舵取りが難しそう (・・;カンザスシティ連銀の研究では、FRBの量的緩和により長期金利が150bp程度押し下げる効果があったと発表していた。QTの規模と、米国債発行の増減のバランスによるが、今後の米国債入札はかなり注目となるだろう。