2022/5/6

【伝説の投資家】地球の課題は「6つのOKR」で解決せよ

NewsPicks 編集部
5月5日、超ド級のニュースが飛び込んできた。
米トップ大学の一つ、スタンフォード大学が、70年ぶりに、気候変動・サステナビリティの新学部を立ち上げると発表したのだ。
「気候/サステナビリティは、次のコンピュータサイエンスになる」
この新学部に11億ドル(約1400億円)を投じ、設立を強力に後押ししたのが、ベンチャーキャピタリストのジョン・ドーアである。ドーアは超初期のグーグル、アマゾンを見いだし、出資した伝説の投資家として名をとどろかせている。
実は、この動きには前段があった。
ドーアは昨秋著書『Speed & Scale(未邦訳)』を発表し、気候変動という人類規模の課題を解決するための科学的かつ数値的な手法を明示していたのだ。特に「OKR」という目標管理手法の導入が、彼のビジョンのコアにある。
実は、ドーアはこの「OKR」の提唱者としても知られる。
2018年、著書『Measure What matters(邦題:同)』で、インテル創業者のアンディ・グローブから伝授されたOKRを紹介すると、グーグルやアマゾンが取り入れた手法としてまたたく間にベストセラーになった。
今、ドーアは、この手法を地球規模の課題に落とし込もうとしている。
これまで気候変動といえば、SDGsや「地球に良いことを」といったスローガンの下で、個人や企業がとにかく頑張ろう、的な精神的なアプローチが多かったかもしれない。
だが、ドーアはOKRを用いることで、グローバルなスケールで「何を」「どれだけ」「どうすればいいか」を明示し、数値的な目標にまで落とし込んでいる
これ読み解けば、本当のカーボンニュートラルへの道のりが見えるはずだ。ということで、今回はSpeed & Scaleを通じてドーアが紹介したOKRを読み解いていきたい。
INDEX
  • 地球のOKR「6つの目標」とは?
  • ①まず交通を「電化」していこう
  • ②世界は、再エネの「次」に
  • ③僕らの「食」に目を向けよう
  • ④きちんと自然を守る
  • ⑤クリーンな「製造業」って何だ
  • ⑥CO2を「取り除け」
  • 終わりに…

地球のOKR「6つの目標」とは?

まず、大前提としてOKRについて復習しよう。
簡単に言うと、目指す課題解決のために目標(Objectives)を明確に設定し、目標を達成するための指標として数値的な成果(Key Results)にフォーカスすることで、組織が優先順位を持って「やるべきときに、やるべきことに集中」するための手法だ。