[ロンドン 26日 ロイター] - 世界銀行は、ロシア・ウクライナ戦争に関連した世界の食料・燃料価格高騰が少なくとも2024年末まで続き、スタグフレーションのリスクを高めると指摘した。

世銀はこのほど発表した商品市場の展望に関するレポートで、世界は1970年代以降で最大のコモディティー(商品)価格ショックに直面しているとし、食料、燃料、肥料の取引制限が、すでに世界中で高まるインフレ圧力に拍車をかけていると述べた。

インダーミット・ギル副総裁(公正成長・金融・制度)は「政策立案者はあらゆる機会を利用して自国の経済成長を高め、世界経済に害をもたらす行動は避けるべきだ」と述べた。

2月下旬に始まったロシアのウクライナ侵攻以降、両国の主要産品のエネルギーや穀物の生産や輸出が停滞し、価格が高騰している。

世銀は、エネルギー価格は22年に50%以上上昇し、23年と24年には減速すると予想、農産品や金属などの非エネルギー価格は22年に約20%上昇した後、減速すると予想した。

中期的に商品価格はわずかに下落するだけで、直近5年間の平均を大きく上回る水準にとどまるとの見通しを示した。

「戦争が長引いたり、ロシアに対し(欧米が)追加制裁を発動した場合、価格は現在の予測よりもさらに高く、不安定になる可能性がある」と述べた。

世銀はこうした危機への政策対応について、減税や補助金は供給不足と価格上昇を悪化させやすいと指摘し、学校給食プログラム、現金給付や公的雇用プログラムといった困窮者向け対策の整備を求めた。